アニメのグローバル化から見えてくる、「文化とは?」
世界に広がる日本のアニメ
1990年代以降、いわゆる日本のアニメは世界中で有名になっています。近年では『鬼滅の刃』など、世界的な大ヒットを記録する作品も現れて、「アニメ=日本文化」という認識をする人が増えてきました。こうした世界への広がりを「アニメのグローバル化」ととらえることもできますが、実は「アニメのグローバル化」は、日本のテレビアニメの創成期である1960年代から存在していました。
海外への下請けで成り立つ
日本には過半数のアニメーターがいますが、アニメ製作が部分的に韓国、フィリピン、中国、ベトナムといった東アジアの国々に下請けに出されています。この傾向は1980年代以降に特に顕著になりました。1967年の『黄金バット』というアニメでは動画のほとんどが韓国で作られていたことからもわかるように、長年にわたって続いてきた製作体制です。
下請けに出す理由は、人件費の安さだけでなく、日本国内のアニメーターの人材不足という側面も指摘されています。最近では、日本のアニメを韓国人監督が演出するということも珍しくありません。これらを考えていくと、「日本で作っているアニメは日本特有の文化と言えるのか?」、さらに「文化というのは果たして何なのか?」という疑問が生じます。
ビジネスとしてのグローバル化
「グローバル化」とひと口に言っても、その形はさまざまです。アニメの製作体制についても、下請けの国々と日本が国家横断的につながっているという点ではグローバルです。ただ、日本のアニメ会社の約9割近くが東京にあり、下請けの会社もソウル、マニラ、上海など各国の大都市にあります。つまり、全域に広がるグローバル化ではなく、大都市同士のネットワークだと言えます。しかも並列ではなく、あくまで東京が支配的であり、東京を中心としたつながりです。
アニメを鑑賞していてまず見えるのは、キャラクターの演技や色彩の美しさなどですが、ビジネスという観点、メディア論の観点などから見ていくと、さらに違った文化の形が見えてきます。
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