各国で起こる戦争や紛争、解決する方法はあるのか?

各国で起こる戦争や紛争、解決する方法はあるのか?

「覇権安定論」とは

今、ロシアのウクライナ侵攻や、ガザ地区での紛争、スーダンの内戦をはじめとして、世界で戦争や紛争が起きています。「なぜ戦争が同時に多く起きているのか」というのは普遍的な疑問でしょう。そんな疑問に関係する理論に「覇権安定論」があります。これは、世界で1つの強力なリーダー国があると国際社会は安定するというものです。第二次世界大戦後は、リーダー国はアメリカでした。経済的、軍事的、政治的に見ても圧倒的にほかの国より強かったためです。戦後からアメリカは「世界の警察官」とも呼ばれるほどの力を持ち、多くの国際的な危機を防いできたとされています。

リーダー国の弱体化が招く危機

近年、多くの研究者が絶対的とされてきたアメリカの力が衰えているという説を唱えています。軍事力ではなく、ほかの国への影響力が弱まっているというものです。覇権安定論で考えると、リーダー国であるアメリカの力が弱くなることで、各国で紛争や危機が発生して、世界情勢が悪化してしまうという可能性があります。
アメリカの力が弱まることは日本にとっても無関係ではありません。その場合、少しずつアメリカから離れて軍事力を強くすることや、アメリカの次に力を持つ国に近づくといったことも考えられ、私たちの生活にも大きな影響が及ぶ可能性があります。

世界情勢の悪化をどう解決する?

不安定な世界情勢を解決するためには、アメリカの力を回復させて、再び絶対的なリーダー国にすべきでしょうか。もしくは、アメリカに次いで強力な国を新しいリーダー国にすべきでしょうか。1つの国だけが大きな力を持つと、その力が悪用されてしまうリスクがあるため、どちらの考え方も根本的な解決方法ではないかもしれません。理想的なのは、国際連合のように多くの国々が集まった国際機関を世界のリーダーにすることでしょう。もちろんさまざまな考え方は存在しますが、国際関係の研究者にとって「これから世界はどうなっていくのか」ということは、大きな関心ごとです。

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創価大学 法学部 法律学科 准教授 ウルヴ ハンセン 先生

創価大学法学部 法律学科 准教授ウルヴ ハンセン 先生

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メッセージ

政治や国際関係に興味があるなら、少なくともニュースを見ることをおすすめします。そして、さらに知識を深めるためには歴史を学ぶことも大事です。まず過去を知らないと、未来を読むことはできません。もちろん過去を知っていても、未来を完全に読めるわけではありませんが、過去を踏まえて推測することはできます。歴史を調べていると、現在起こっている問題と似た問題が過去に起こっていることがわかります。過去を学ぶことは大切なのです。

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創立以来、学生と教職員が大学を創る者として、互いに対話、研鑽を重ねながら大学の価値を高めてきました。こうした教育・研究および社会貢献の成果は、文部科学省のGP(Good Practice)採択など、外部からの高い評価となり、普遍的な価値として、現代の大学教育に大きな示唆を与えています。また国際化が叫ばれる中、69カ国・地域、260大学との交流協定は、真の国際人養成に大いに貢献できることでしょう。