風景を楽しみながら歩く道「フットパス」で知る、地域の課題と未来
当たり前の風景の中を歩く
「フットパス」を知っていますか? フットパスとは、その地域に昔から残っている風景を楽しみながら歩ける道のことで、近年では地域活性化やまちづくりにも取り入れられるようになりました。地域特産のグルメや温泉といった集客力のある資源を打ち出す「地域ブランディング」とは異なり、田畑やあぜ道、季節ごとに花を咲かせる木々など、そこに住む人にとっては当たり前の風景こそが地域資源になるという考え方がベースになっています。また、多くの観光客を集めて経済波及効果を狙うのではなく、外から訪れる人たちと、地域に暮らす人たちが、歩くことを通して交流することも大きな目的です。
学生と地域の交流
フットパスは地域創生学や社会学、土木学といった学問分野の研究テーマにもなっています。例えば大学のフィールドワークでフットパスのコースをつくる際には、学生が地域の人たちと接して、特徴のある風景やそこにある歴史などについてヒアリングしながら、ともにコースをつくり上げていきます。その過程では、シカやイノシシに田畑を荒らされる獣害の深刻さや、公共交通がいかに衰退しているかなどの、地域が抱える課題を通して地域を見ていきます。また地域の人たちにとっては、学生という第三者との交流を通して自分たちの町の魅力を再発見し、生活に活気が生まれるといった効果も期待できます。
地域創生の未来
一部の大都市を除き、日本の地域のほとんどは高齢化と過疎化に直面しており、その傾向はほかの国々にも見られます。そうした意味では地域創生やまちづくりに関するノウハウは、これまで以上に求められます。地方の町は活力がどんどん失われ、大きな投資が難しくなるという現実がある一方で、少しのきっかけで大きく生まれ変わる可能性も秘めています。フットパスをはじめとして、人が交流し、昔から受け継がれてきた地域資源そのものに価値を見出すような地域創生のあり方は、今後もますます重要度を増していくでしょう。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
北九州市立大学 地域創生学群 地域創生学類 教授 内田 晃 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
地域創生学、社会学先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?