都市計画技術を応用して、地域の再生をめざす!

地域の課題に向き合う都市計画
「都市計画」は、都市の将来を想定し、規制や整備・誘導などによって、都市を制御し、都市の適正な発展を促進する手段です。地域の魅力や人々の誇りを守りながら、建築や都市を研究し、計画・設計することをめざしています。人文・社会学、経営、地理、土木、建築など多くの分野で研究されており、人々のくらしに最も近い建築学の視点から都市や地域を考えるアプローチもあります。具体的には、土地利用制御、市街地再生、景観マネジメント、観光地づくり、離島・中山間地域の持続可能性など、建築・都市計画技術を応用した研究が行われています。
人々の営みがつくりだす文化的景観を守る
文化的景観とは、地域の生活や風土によって形成された景観地であり、長い間受け継がれてきたものを指します。例えば大分県別府市には、世界的にも珍しい豊かな温泉資源を徹底的に利用したくらしを象徴する景観地があります。「湯治の文化」や温泉成分を析出させる「湯の花の製造技術」などがあり、2021年には、湯けむりの景観は国の重要文化的景観として選定されています。湯けむりの風景を守るためには規制も必要であり、景観のルールが設けられるなど、文化財を保全・活用する方策の検討や整備が進んでいます。
地域の未来を科学的に描き出す
地域の活性化に取り組む際には、地域の課題を客観的に把握するために、過去の情報から未来を予測する学術調査が行われます。統計データ解析や先行事例分析、路線価変遷や人口変動などの情報を集め、その調査結果を評価・分析して、地域の課題を改善する方策を考えます。また、改善方策へ地域住民の意向や活動を反映する取り組みも進んでいます。そのため、必要に応じて地理情報システムやコンピュータグラフィックスなどの技術も利用します。
このように都市計画では、豊かなくらしと持続可能な成長を両立するために、整備や開発を誘導・促進したり、景観などのルールによって制御したり、加速すべき点と抑制すべき点を併用した取り組みが進められているのです。
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先生情報 / 大学情報

大分大学理工学部 理工学科 建築学プログラム 准教授姫野 由香 先生
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建築学、都市工学、都市計画学先生が目指すSDGs
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