持続可能な水の未来を考える

持続可能な水の未来を考える

水の需要を予測する

私たちにとって欠かせない水は、さまざまなインフラや技術によって守られ、循環しています。水を飲めるレベルにまできれいにする浄水処理や、トイレやシャワーで使った水を環境に戻せるまできれいにする下水処理もその一部です。上下水道の計画には水需要を予測する必要があり、そのための研究が行われています。世帯レベルの需要を把握するためには、アンケート調査と検針水量データを用いた分析が行われています。また、家庭内のキッチンやトイレ、風呂などの給水栓に量水器を設置し、使用目的ごとに水の使用量を把握することもあります。

きれいな水をどこででも

開発途上国には、日本のように十分な水道や下水道といった水インフラが整っていない国もあります。地域によっては、公的な機関から水を得ている人もいれば、地域で共有する井戸や、個人所有の井戸を利用している人もいます。そうした井戸の水に大腸菌などが検出される場合もあります。そうした水インフラが未整備な地域で役立つ、分散型の水システムの開発も進められています。例えば、太陽光パネルから電源を供給して、膜処理や紫外線による処理を行うことで、水道や電気が通っていない場所でも安全な水を使えるようになる可能性もあります。

持続可能な水環境

日本の水環境にも課題があります。人口減少によって地域の水需要が減っていますが、需要が減っても上下水道の処理施設の運転コストやメンテナンス費用はあまり変わりません。一つの施設でより広いエリアをカバーする「広域化」という策もありますが、地形などの問題をクリアする必要があります。このままでは施設の更新ができない状況や、料金を大幅に値上げせざるを得ないといった事態も想定され、水インフラの経営のあり方を見直す必要があります。
時代や国、地域が変わっても、人間にとって水は不可欠です。水環境の持続可能性を高めるには、工学から経営学にいたるまで、幅広い視点で考えることが求められます。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

福山市立大学 都市経営学部 都市経営学科 准教授 清水 聡行 先生

福山市立大学都市経営学部 都市経営学科 准教授清水 聡行 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

環境工学、上下水道工学

先生が目指すSDGs

メッセージ

都市における問題は、一つの側面からだけでは解決できません。さまざまな分野や専門の知識をもつ人たちが、それぞれの視点から協力して取り組んでいく必要があります。そういう意味では、何かを学ぶにあたっては「これは嫌い」「あれは好き」などと絞り込んでいくだけでなく、まずは自分が好きなことから入って、そこから徐々に興味を広げていくのも一つの方法だと思います。あなたの好きなことをきっかけに、少しずつ関心の範囲を広げていってください。

福山市立大学に関心を持ったあなたは

福山市立大学は、福山市が設置する公立大学、4学期制による効果的な履修、4年間を通じた少人数参加型授業や、街と一体となったキャンパスを拠点に、福山市全体をフィールドとした体験型授業の充実が特色です。公立大学の特色を生かし、教育学部では地域の教育・保育施設との連携により実践力のある教育者・保育者を目指します。都市経営学部は全国初の学際的な学部で、環境を基盤として工学系、経済学系、社会学系の3つの領域を総合的に学び、持続的な都市社会の発展を担える人材を育成します。