学校や地域で子どもを支援する作業療法士の役割
ボディイメージの重要性
0歳から3歳は人間の発達にとって大切な時期です。この時期に体を動かし、頭を使うことでさまざまな感覚が脳に入力され、統合されていきます。そして「ボディイメージ(自分の体に対する感覚)」が養われ、ボールを投げたり、スキップをしたり、また服を着たり靴を履いたりといった身の回りのこともできるようになります。しかし、この時期に十分な感覚の入力がないと、運動や身の回りのこと、勉強なども苦手になるため、学校でも周囲に遅れをとってしまう子どもが近年増えています。
遊びを取り入れた練習
学校では特別支援学級や補助教員を置いて、支援が必要な子どもたちに対応しています。平成30年の法改正により、そこに作業療法士も加わりました。その人にとって『意味のある作業』を支援する専門職作業療法が、学校と連携しながら一人ひとりの発達状況や課題を共有し、専門的なアセスメント(評価)や練習を行います。練習は子どもにとって『意味のある作業』である『遊び』を取り入れる点などが特徴です。例えばすごろく遊びを取り入れることで、さいころの目を数え、「あと何マスでゴールできるか」という計算を楽しむようになり、算数の概念、能力が鍛えられます。ほかにも触覚や圧覚、手足を動かす感覚を『遊び』を通し、脳に刺激を与え運動発達を促します。
地域リハビリテーションにおける作業療法士
近年、地域リハビリテーションの重要性が説かれています。これは、その人が『その人らしく』あるためには住み慣れた地域で生活できることが重要であり、そのために医療や福祉、教育、就労といった専門機関が連携していくという考え方です。例えば、発達障がいのある子どもが地域の学校に通えるようにすることも、地域リハビリテーションの一環です。医療的な専門性をベースに、保健、福祉や教育、就労にも通じることができる作業療法士には、地域において医療・保健・福祉・教育・就労の橋渡しになることも期待されているのです。
参考資料
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
帝京大学 福岡医療技術学部 作業療法学科 准教授 轟木 健市 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
作業科学、作業療法学先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?