今後に生かせる「地域防災」を考えよう

地域防災に求められる多様性
東日本大震災の当時の避難行動に関する検証が進んでいます。見えてきた課題も多く、それらを考察しながら、今後も起こり得る自然災害に対する地域防災の仕組みづくりが急がれています。
地域防災は、災害発生直後の避難行動から、いつ起こるかわからない災害に備えたまちづくりまで、その内容は多岐にわたります。ひと言で「地域」といっても、その現状はさまざまで、東日本大震災の被災地を見ても、都市部もあれば、農山漁村もあり、自然との関わり方を含む景観も、コミュニティの形成も、それぞれ大きく異なります。地域特有の事情を踏まえた、多様性のある地域防災を考える必要があります。
「海が嫌いにならない」防災教育
学校における子どもたちへの防災教育はこれまでも重要視されてきましたが、東日本大震災では、想定を超える津波が大きな被害をもたらしました。命を守るという視点においては「大きく揺れたら津波が来る。危険だから早く逃げて!」と教えることで、避難への意識は高まります。一方で、危険ということだけが強調され過ぎると、子どもたちは海を嫌い、避けるようになってしまうかもしれません。漁業を生業としてきた地域では、そうしたことに配慮した防災教育が求められます。学校や家庭、地域の連携も必要です。
記憶や記録を伝えていくことも大事
災害の規模や被害状況はもちろん、その後防潮堤や高台移転などの経緯とそれらにともなう地域の景観変化、集団移転によるコミュニティの変化など、まちづくりはどのように行われ、人々の生活はどう変わっていったのかという記憶と記録を後世に伝え続けていくことも、これからの地域防災を考える上で大事なことです。
若者が少なく、伝承活動が進まない地域や、総合的かつ客観的な視点を持ってサポートしてくれる人がいない地域もあるでしょう。そんな時は地域の外の人々や専門家などの力を地域と丁寧に合意形成を行いながら活用することも、よりよい地域防災の仕組みづくりには有効です。
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東北工業大学ライフデザイン学部 生活デザイン学科 教授畠山 雄豪 先生
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