世界各国に現代まで影響を与え続ける古代エジプト文明
約5000年前に始まった高度な文明
古代エジプト文明と聞くと、ピラミッドやクレオパトラ、ツタンカーメンを思い浮かべる人も多いでしょう。紀元前3000年から約3000年という長い歴史があり、文字や美術、建築、衣食住などが発展した、高度な文明がありました。その頃の日本はまだ縄文時代です。
そんな古代の文明が、今の時代にも影響を与えています。例えば1日を24時間、1年を365日とする太陽暦やさまざまな職業は古代エジプトで誕生しています。日本との共通点も不思議と多く、漢字と同じように、エジプトの文字も絵や図から作られた象形文字です。また、日本と同じ多神教で、動植物も神としていました。
それぞれの国での古代文明のとらえ方
ヨーロッパ諸国は古代エジプト文明を、自分たちのルーツに連なる存在として探究していますが、国によってとらえ方が異なります。産業革命発祥の国であるイギリスは、エジプトを不思議なもの、珍しいものとして見る傾向がありました。大英博物館は多くの古代エジプトの美術品を所蔵し、建築やデザインも一種の流行として影響を受けています。フランスは学術的にとらえ、象形文字の解読を成功させました。事典などの製作に長けているドイツも、エジプトの歴史から学ぼうとする姿勢が強くあります。実は、日本には江戸時代にエジプトのミイラが持ち込まれていて、不老不死の薬としても用いられました。
歴史を土台にして生まれる「創造する力」
歴史は、現代や各国の文化と関連していることがわかると、見え方がまったく変わります。異文化への理解や国際感覚、自然に対する考え、歴史の持つ意義や人間の営みの原点などが見えてくるのです。また、人類の経験の集大成である歴史を学ぶと、それが新しいものを生み出す力となります。流行は時が経つと廃れますが、歴史を土台にしたものは今も生き続けています。歴史から真理や心理、原点を学ぶことが、文学や芸術、医学や建築といった、あらゆる分野で活躍する力の源になるのです。
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中部大学 国際関係学部 国際学科 教授 中野 智章 先生
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