多様な家族のかたちが認められているデンマーク
デンマークの「家族」に対する考え方
デンマークは、家族のかたちがユニークです。日本の総務省に相当する機関が示している家族のかたちとして、シングル(男・女)、結婚をしているカップル(異性、同性)、法的な婚姻関係がない同棲カップル(異性、同性)と分かれています。法的な結婚をする前に、カップルの多くは同棲を始めるのですが、付き合いが進むと、子どもを持つことを考えるようになります。子どもを持つことは自分たちが家族となり、絆が強化されることを意味します。法律上の結婚よりも子どもを持つことが重要視されているのです。
養育費の支払いを国がチェック
デンマークでは離婚や再婚が多く、半分ぐらいのカップルが離婚しています。しかし、離婚して別居した親は子どもと定期的に会って、一緒に子育てをします。子育てに関わることが法律で決まっているのです。再婚して新しいパートナーができると、新しいパートナーも子育てに加わります。生物学的な親は決まっているのですが、親として関わる人はたくさんいることになり、人間関係が複雑になりがちです。また、デンマークでは、離婚した親が養育費を払っているかどうか国がチェックしています。払っていないと、国の福祉サービスを受けることができないのです。
女性が働くことを国が後押し
社会保障制度が整っていて税金が高いデンマークでは、共働きでないと生活ができません。子どものお迎えのために早く帰らないといけなかったりするのは、日本の共働き子育て世代とよく似ています。デンマークの人口は約580万人であり、国づくりをする上で働き手を男性だけとするとマンパワーとして諸外国に負けてしまいます。少しでも女性に働いてほしいという観点から、家事や育児を国が支援する仕組みが作られました。日本も人口減少が見込まれる中、さまざまな政策を打ち出しています。50年ほど前のデンマークの状況と今の日本は似ており、参考にすべき点も多いでしょう。
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先生情報 / 大学情報
京都ノートルダム女子大学 現代人間学部 生活環境学科 准教授 青木 加奈子 先生
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