擬態語による性格表現から、日本における性格理解について考える

擬態語による性格表現から、日本における性格理解について考える

その人の印象を伝える擬態語

「あの子、ほんわかしてるよね」「あの人はちゃらちゃらしてる」などの擬態語による性格表現は、実際に出会ったことがなくても、その人の印象を伝えイメージを喚起します。擬態語による性格表現を調べていくと、日本ならではのコミュニケーションのあり方や対人関係の特徴が見えてきます。日頃、私たちが何気なく使っている性格表現語を集めて分析することで、その言語を使う人々の性格の捉え方を明らかにしようとする研究は、「心理学的語彙研究」と呼ばれています。2000年頃、広辞苑から性格表現語を抽出し分析した研究で、多くの性格を表現する擬態語が見いだされました。このことは、日本に特徴的な対人関係や性格の捉え方が関係しているのではないか、と考えられました。そして、多くの人々を対象に性格擬態語を用いた調査が行われ、回答を分析した結果、「臆病さ」「几帳面さ」「不機嫌さ」「緩やかさ」「淡白さ」「軽薄さ」の6つの擬態語群が整理され、自分や他者の性格を測定できる「擬態語性格尺度」が作られました。

「緩やかさ」「淡白さ」「軽薄さ」の擬態語群に着目した研究

現在、特に「緩やかさ(ほんわか等)」「淡白さ(あっさり等)」「軽薄さ(ちゃらちゃら等)」の3つの性格擬態語群に着目した研究が進められています。これらは「ビッグ・ファイブ(各国の性格表現語の分析から共通して見いだされる5つの性格次元)」では捉え切れない、擬態語に特徴的な性格の側面とされており、これらの擬態語で表現される性格は日本での人間関係やコミュニケーションにおいて重要な役割を果たしていると考えられています。今後も擬態語性格尺度を用いて、性格の自己認知と他者認知の関連を調べる研究などが計画されています。

自分や他者に対する理解が深まる

性格を表現する言葉について考えることを通じて、普段あまり意識していない自分や他者の性格についての理解が深まります。また、性格に限らず自己認知や他者認知の研究は、自分や他者、世界について様々な気づきを与えてくれます。

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京都ノートルダム女子大学 現代人間学部 心理学科 教授 向山 泰代 先生

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私たちは、人と関わることを抜きにして、日々を過ごすことはできません。まずは、あなたの周りの人々や暮らしている世界に興味や関心を向けて、じっくり見たり、聞いたり、考えたりしてみてください。その過程で生まれてくる素朴な問いは、心理学をはじめ、様々な学問への入り口となります。日常の素朴な問いを大事にしましょう。また、学生時代は多くの人にとって人生の土台となる時期です。勉強に限らず色々なことに取り組み、自身の経験の幅を広げておくことは、将来のあなたの生活や仕事を充実させることに繋がっていくと思います。

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