世論調査はなぜ、増えている? その信頼性を担保するものは?
増える世論調査の実施回数
新聞やテレビなどでよく「内閣支持率」や「政党支持率」といった言葉を見聞きしますが、社会のさまざまなテーマについて国民がどう考えているかを調べるために行うのが、世論調査です。世論調査は、その結果をもって国民全体の動向を推定するために、一定数の国民を対象に実施する社会調査ですが、近年、その実施回数が増えています。
主要報道機関では、かつて年に数回から5、6回程度実施されていたものが、最近は毎月、あるいは月に数回実施されることも珍しくなくなりました。さらに、報道機関のみならず、政府や自治体から民間の調査機関まで、さまざまな組織が世論調査を実施しており、その数は、年間1000回以上になります。
世論調査の結果を判断基準にする国民
世論調査の数が増えた理由の1つは、ランダム番号を使った電話調査(RDD方式)の登場で、従来に比べ容易に調査ができるようになったことがあります。加えて、世論調査に対する国民のニーズが高くなったこともあります。世論調査が一般化したことで、世論調査の結果を自身の判断基準にしたいと考える人が増えたのです。その結果、何か事が起きるとすぐに世論調査が行われ、その結果が報道されて、社会全体が納得するという世論調査中心の「世論形成のサイクル」が存在するようになりました。
調査結果の信頼性をどう担保するか
このように世論調査の結果は、民意の動向を把握するだけでなく、世論の形成においても影響力を持つため、調査は、正しい手順で行わなければなりません。例えば、調査対象は、社会の誰もが等しい確率で対象になるような方法で選ぶ必要があります。また、調査結果を発表する際も、どのような調査手法で、どのような聞き方をし、どれだけの回収を得たかといった調査方法についても情報を公開する必要があります。一方、調査結果を見る側も、必要条件を備えた調査であるかを確認した上で、内容の信頼性を判断することが肝心なのです。
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先生情報 / 大学情報
埼玉大学 社会調査研究センター 教授 松本 正生 先生
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