講義No.08568 機械工学

コマを回してエネルギーを溜めよう!

コマを回してエネルギーを溜めよう!

フライホイールを使い電力の平準化を

電池以外にもエネルギーを蓄える方法はあります。それは「フライホイール」という円盤を回転させ、運動エネルギーとして蓄える方法です。このバッテリーが得意とするのは、溜めたエネルギーを大きく放出することです。そのため、『宇宙戦艦ヤマト』や『新世紀エヴァンゲリオン』といったアニメでは始動するための機器などとして使われていますが、現実での目的は電力の平準化です。太陽電池や風力発電といった自然エネルギーは電力の生産が安定しないことが欠点です。しかし、フライホイール・バッテリーを仲介すれば電力が多いときは溜め、少ないときは放出することができます。しかもメンテナンスを行うことで電池より寿命が長く、温度変化にも強いというメリットがあります。

効率よく回転させるには?

代表的なフライホイール・バッテリーとしては、超電導磁石を使ったものがあります。磁石のため摩擦は少ないのですが、装置としては大がかりになってしまいます。一般的な素材でつくるにはエネルギー効率や振動音の点から形状を工夫する必要があります。例えばコマのような物体を回転させ、流体の力で浮かせれば低損失で動作音も少ないバッテリーができます。ただし温度が上がると浮く力が弱くなり、金属同士が接触してしまう箇所ができてしまうため、使いこなすための工夫が必要になります。

回転を利用したものづくり

回転体はユニークな性質を持っており、例えばジャイロ効果は惑星探査ロボットや人工衛星の姿勢制御に使われています。コマが簡単に倒れないように、回転している物体は倒れる方向の逆に力が働くのです。また歯車やモーターなどは多くの機械に使われていますし、そもそも分子や電子が回転していることを考えると、回転運動はものづくりや諸現象の本質とも言えます。
フライホイール・バッテリーは電池のような化学バッテリーと比べると小型化が難しいのですが、回転運動を突き詰めて研究すれば、ナノサイズの装置もつくれるかもしれません。

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長岡技術科学大学 工学研究科 技術科学イノベーション専攻 教授 山田 昇 先生

長岡技術科学大学 工学研究科 技術科学イノベーション専攻 教授 山田 昇 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

機械工学、エネルギー工学、流体工学

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メッセージ

世界を揺るがすような大発明がなくても、今ある技術を組み合わせれば、さまざまなものをつくり出すことができます。それが将来、世の中の役に立つ可能性があるのです。日本のものづくりの強みは丁寧さにありますが、完成度を求めすぎる余りに世界から遅れをとっている部分があるというのも事実です。
どうしても100点の仕事をするのが難しい人は、60点でもいいのです。それを2つ、3つと重ねていけば120点、180点になります。時にはスピード感を大事に、荒々しく突き進む人もこれからの日本に必要だと言えるでしょう。

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