福祉用具をデザインしよう!
活動をアシストする道具
福祉用具とは、障がいがある人の活動をアシスト(手助け)する道具です。その歴史は長く、例えばライターや靴べらは、もともとは障がいのある人が使う道具として開発されたといわれています。身近にある福祉用具として、移動をアシストする杖や車椅子があります。眼球の動きだけでさまざまな機器を操作する高度で精密な電子機器も福祉用具です。また、障がいの有無にかかわらず、多くの人が使いやすいように設計する「ユニバーサルデザイン」という考え方も生まれています。一方、義肢や義足のように、特定の個人のためのオーダーメイドの福祉用具もあります。
ユーザー情報を把握する
通常の工業製品は、不特定多数の利用者を念頭にデザインされるので、高い汎用性が求められます。しかし、福祉用具、特にオーダーメイドの福祉用具は、特定の個人にどれだけ合わせられるかが重要です。まず、ユーザーの情報を把握します。体のサイズ、障がいの種類や状態とともに、「ユーザーが何をしたいのか」という情報も忘れてはいけません。歩くための義足と、走るための義足ではデザインが異なるからです。こうした情報を集約し、人間工学やリハビリテーション工学という専門的な知識を駆使してデザインをしていきます。
チームアプローチとフォローアップ
福祉用具は、デザイナーだけでは完成できません。必ずユーザー本人に試用してもらうとともに、家族、医師、そして理学療法士や作業療法士、言語聴覚士など日頃からユーザーをサポートしているチームの力も必要です。こうしたチームアプローチによって、ユーザーが使いやすく、負担の少ない用具に改善することが、福祉用具のデザインの不可欠の要素です。さらに、完成しても、それで終了ではなく、定期的なフォローアップを行います。障がいの状態やユーザーのニーズは変化しますから、それに合わせて改善する必要があるからです。
こうした過程の全体に深く関わることが、福祉用具のデザインの醍醐味(だいごみ)なのです。
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先生情報 / 大学情報
長野大学 社会福祉学部 社会福祉学科 教授 繁成 剛 先生
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