農山村の再生をめざす研究
農村の復興とグリーンツーリズム
農家の減少が林業の衰退を招いています。こうした現象が日本各地で次々と起こっています。では、どうしたらいいのでしょうか?
そこで出てきた施策が「グリーンツーリズム」です。これは観光とは違い、農山村存続のための政策の一つです。例えば、とれた旬の野菜を使ってレストランを開いたり、アケビなどの加工品を作って売ったり、人がいなくなって母屋に部屋がたくさん空いているところを民泊に提供するなど、農山村がもともと持っている多面的な機能を活用して都市農村交流を促進しようという試みです。
グリーンツーリズムの推進により農山村の保全の大切さを感じる子どもたちが育ってきて、その中から農山村に戻ってくる人が現れるかもしれないと期待されています。また、毎年、全国で37万人ほどの若者、20代から30代前半の人たちが自分の出身地に戻ってきている事実も注目してよいでしょう。農村回帰が静かに進んでいるのではないでしょうか。
30代前半の女性が農山村再生の鍵を握る
都会でも面白い現象が起きています。家を建てるとなった場合、東京だと25坪で5000~7000万円くらいかかります。ところが地方だと、3000万円もあったら70坪の敷地に一軒家が建つのです。地方出身の人は、5000~7000万円のローンを組んで払い続けるために毎日、汗水垂らして通勤電車で会社に通い続けるべきか、あるいは、給料は安いかもしれないけれど、自分のふるさとで、おいしい水と空気の下で子どもを育てるべきかの岐路に立たされるのです。この時、後者を選ぶ30代の人が全国的にかなり増えてきています。その人たちが農山村再生のキーになるのではと期待されています。
日本の国土、日本の食というのは、農山村に支えられています。ですから、農村の持つ多面的な機能を理解し、しっかり保全していくのは、日本の未来のためにも重要なことなのです。
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