考えたことが見えちゃう!? 脳内の情報の映像化をめざす
頭の中は映像化できるか?
自分が見たものを誰かに伝えるとき、相手がまったく同じ映像をイメージできるように説明することは、容易なことではありませんが、見たものをそのまま映像にできれば、誰にでも簡単に伝えられます。しかし、そんなことができるのでしょうか?
脳内の電気信号と血流の変化で刺激を判別
人間がものを見るとき、その映像は網膜でとらえられ、電気信号に変換され、神経線維を介して脳に伝えられ、そこで映像の内容が認識されます。こうした一連の情報処理は、脳内のたくさんの神経細胞(ニューロン)が電気信号をやりとりすることによって行われます。そのとき生じた電気信号は、わずかですが、脳の外に漏れ出ます。また、神経細胞が働くとき、酸素が必要になるため、血液の流れにも変化が出ます。そこで、こうした微弱な電気信号や血流の変化のパターンをとらえることで、人間が見た映像の内容を読みとってそのまま映像化しようという研究が進められています。
例えば、車の映像とバイクの映像を何回も見せ、それらの映像を見ているときの脳内の電気信号や血流変化の違いを分析することで、それぞれの映像を見ているときの脳の反応の特徴をとらえます。こうした方法により、映像ごとの脳の反応の特徴から、逆に、どんな映像を見ていたかを判断するというわけです。この研究がさらに進めば、将来、頭の中で考えたことでさえ読みとることができるようになるかもしれません。
考えただけで操作できる車椅子も可能に
頭の中で考えたことを読みとれるようになれば、さまざまなことが可能になります。例えば、絵を描くのが苦手な人でも、自分が思い描いた通りの車や洋服をデザインできるかもしれません。あるいは、頭で考えただけで、自由に操作できる車椅子をつくることも考えられます。さらに、言葉を失った人ともコミュニケーションができるようになるかもしれません。こうしたことが実現できれば、健常者はもちろん、障がいのある人たちも、暮らしやすい便利な社会をつくることができるでしょう。
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先生情報 / 大学情報
電気通信大学 情報理工学域 II類(融合系) 計測・制御システムプログラム 教授 宮脇 陽一 先生
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