人々の幸せが実現する社会をつくる! ソーシャルシステムデザイン
幸せを考える研究
2009年の国立社会保障・人口問題研究所の調査では、人々のメンタルの不調がもたらす経済的損失は、日本全体で2兆7千億円と算出されました。これはGDP(国内総生産)の約0.5%に相当します。メンタルの不調を解消するには、「ウェルビーイング(心の幸せ)」を実現しなければなりません。ソーシャルシステムデザインという学問では、人々のウェルビーイングを実現する人やものごとのつながりを創り(=システム思考)、ありたい社会の仕組みを実現する(=デザイン思考)ために、さまざまな研究を行っています。
幸福になるためのお金の使い方
ウェルビーイングの実現には、「人々がつながること」が有効です。そして、「人とのつながり=縁」を生み出す上で重要な役割を果たすのがお金です。「幸せはお金では買えない」という人もいますが、お金にはお金もうけ目的以外の使い道もあります。これまでの研究では「大事な人のため」「他人との縁をつなぐため」「人の役に立つため」「一人でいないため」「コトづくりのため」という5つの目的でお金を使うことで、幸福度が上がることがわかっています。
世界をより良い方向に導く
幸せになる未来を実現する仕組みをデザインした社会づくりの一環として、「笑顔を検知すると手に除菌液を噴霧する装置」の開発が挙げられます。コロナ禍で店などに入る前の手の消毒が一般的になりましたが、それも笑顔を作る機会にしようというものです。また、鎌倉市ではマイボトルをカフェに持参してコインをもらい、貯めたコインを規格外の野菜と交換するといった、地域通貨「クルッポ」の実証実験が行われています。ほかにも、人工知能(AI)を使って幸福度を判定する「幸福天気予報」の実現をめざすなど、幅広い研究活動が展開されています。
「人の縁」「社会とのつながり」に着目し、ウェルビーイングが実現する社会をつくる方法を考えるこの研究は、未来を変え、世界をより良い方向へと導く「ソーシャルイノベーション」を起こす大きな可能性を秘めているのです。
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先生情報 / 大学情報
叡啓大学 ソーシャルシステムデザイン学部 ソーシャルシステムデザイン学科 教授 保井 俊之 先生
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