建築をわかりやすく伝える「キュレーション」とは

建築をわかりやすく伝える「キュレーション」とは

建築をどう伝えるか

ひとくちに建築といっても、分野は多岐にわたります。設計や構造など工学的な研究もあれば、意匠や美しさといった美術的な研究もあります。そしてさらに総合的に、キュレーションをとして建築というものを人々に伝える方法論の研究もあります。そして、そもそも建築とは何か、どう理解し、さらに建築というものをどう伝えていくかといった、建築の根本を探る研究も行われています。そのような問いの答えを提示する方法の一つに、キュレーションがあります。

建築キュレーター

ヴェネツィア・ビエンナーレと言う、イタリアで2年に1度開催される現代美術作品の国際的な展示会があります。100年以上の歴史がある美の祭典ともいわれ、各国のパビリオンで数々の作品が展示されます。 建築展はこの美術展と交互に2年に1度開催されます。そこでは模型や写真、映像を使って建物の魅力を紹介、解説します。建物には土地の文化や歴史、宗教が反映され、さらに建築家の考え方や思いも表現されています。来場者に深い理解を促すため、様々なアイデアを用いて展示が実践され、伝える方法が工夫されています。美術館や博物館に学芸員がいるように、ここでも建築をさまざまな角度からわかりやすく伝えるキュレーターが求められています。

見せるだけでなく、体験してもらう場に

ビエンナーレといった展示会の最近のテーマは、一方的な情報提供ではなく、来場者に建築を体験し共有してもらう双方向のやり取りの実践です。情報環境の発展で海外とのやり取りも容易になり、来場者とキュレーターとで一緒に楽しめるような仕掛けや取り組みが実践されようとしています。
建築は文化的である半面、住居や施設に使われる大変身近なものです。すでに今の建築家は、住民と一緒に、また地域や行政、地元住民から意見やフィードバックを得ながらアイデアを提示し、建てることを意識しています。それを伝える「キュレーション」も、双方向のやり取りに主眼をおいた手法が大切になっています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

京都美術工芸大学 建築学部 建築学科 教授 宮内 智久 先生

京都美術工芸大学 建築学部 建築学科 教授 宮内 智久 先生

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建築

先生が目指すSDGs

メッセージ

もしあなたが建築を学びたいと思っているなら、極めたい分野として志すのもいいですが、できれば何でも学ぼうというオープンマインドでいてほしいです。大学はあなたの可能性を狭める場ではなく、広げる場です。また高校では教科書を見て理解するのに対し、大学は自分で問題を作り、自分で答えを探す場です。先生に「どう考えますか?」と尋ねても、その答えも先生によって異なります。ですから自分で問い続け、様々な見地を得て、探究するのです。そういう意味でもオープンマインドでいるのが大切ですし、それが大学で学ぶ楽しさです。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

京都美術工芸大学に関心を持ったあなたは

本学は2012年に開学し今年で11年目を迎えました。キャンパスがある京都東山は京都駅から徒歩圏内で、近くには有名な寺社仏閣や文化施設などが点在する京都を代表する観光地にあります。本学は「建築学部建築学科」と「芸術学部デザイン・工芸学科」の2学部2学科からなり、伝統と先端が融合する都市「京都」で、建築と芸術をはじめとする複数の視点から学びを深めることで、これまでにないクリエイティブを生み出す力を身につけることが可能です。また、グループ校との連携により、建築士資格が在学中に取得できることもできます。