経済の視点で西洋の歴史を学ぶと「今」の世界の成り立ちがわかる
なぜ「西洋」の経済史なの?
現代の経済の大きな軸は、G7などのメンバーであるアメリカとヨーロッパの主要国です。そこで用いられる経済の理論やルールは、西洋社会の歴史で培われてきたものが基準となっています。「西洋経済史」は、現代における主要な経済学の成り立ちを知るための基礎になります。高校で学ぶ「世界史」との大きな違いは、世界史が事件を中心に流れを見ていくのに対して、西洋経済史は経済の視点から歴史と人間社会の動きを見ていくところです。
西洋経済の歴史をローマ時代から紐解く
西洋経済史は紀元前753年頃のローマ時代から始めます。そこでカエサルやオクタヴィアヌスなど、歴史上の権力者たちを動かした経済の基盤を学びます。例えば、各地域の気候や地形、国の成り立ちや政治体制について、そこから生まれる産業や貿易取引の主要ルートの発展や衰退などについてです。こうした見方をもって、中世、近世、近代、現代へと目を移していきます。
さまざまな角度から社会の流れを見ていくことで、各地域で起きた新しい国の勃興や戦争、感染症などの影響がパズルのピースのようにつながっていきます。そして、そもそもの原因や、その後につながる社会の流れも見えるようになります。過去を知ることは未来を見ることにもつながり、それによってさまざまな予測がしやすくなります。
「経済」は常に今が最新バージョン!
経済学の中で歴史を学ぶのは、さまざまな経済の理論が生み出されてきた背景を知るためです。今を生きる私たちの関心や行動が、未来の人々にとっての歴史となっていきます。人間の活動は、すべてが経済に関わると言っても過言ではありません。人々は前の時代から受け継いだ経済に対する考え方を、試行錯誤しながら新しい時代へ合った形へとアップデートしてきました。私たちも同じように社会の変化に応じて、自分たちの経済学をアップデートしていく必要があります。過去の理論やたどってきた道筋を理解することは、今と未来を生き抜く大切な力を与えてくれるのです。
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東京都立大学 経済経営学部 経済経営学科 准教授 井澤 龍 先生
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