子どもの成長発達を見守る大人に求められること

子どもの成長発達を見守る大人に求められること

子どもには自分で育つ力がある

0~6歳までの乳幼児期は、経験したことをどんどん吸収して、できることが増えていく成長発達が著しい時期です。大人があれこれ教え込まなくても、子どもたちは日々の生活や遊びの中からさまざまなことを学び取り、これから社会で生きていくために必要なことを身につけていきます。子どもたちには、自ら育っていく力がもともと備わっているのです。

「同じ」に見えて「同じ」ではない子どもの遊び

ただ、乳幼児期には右肩上がりの直線的なグラフを描くように成長発達を遂げるわけではありません。何かが急激にできるようになるときもあれば、大きな変化が見られない状態が続くこともあります。そして、子どもがいつも同じ遊びをしている姿が見られることもあります。大人の目には変化がなく退屈に映るかもしれません。しかし、同じことを繰り返す子どもの目はキラキラと輝いていて、とても楽しそうです。子どもにとっては、「同じ」ことの繰り返しではなく、一回一回が新鮮な驚きや喜びにあふれた「新たな出会い」なのです。このように、同じ遊びを繰り返すことにも大きな意味があるため、その子が遊びに夢中になっているのであれば、大人がむやみに手を加える必要はないのです。

「してあげる」ことよりも大切なこと

そのような経過をたどって、子どもが成長するのは喜ばしいことです。しかし、子どもの成長には、他の子どもとケンカする、大人の要求と自分のやりたいことがすれ違う、などの葛藤がつきものです。仲直りのしかた、約束やルールを守ることの大切さを大人が教えてあげることで簡単に解決することもあります。しかし、その子の人生を歩んでいくのはその子自身であることを考えると、本人があれこれ考え、試行錯誤しながら自分なりの関わり方や答えを見出していくことの方が、実は大切なのです。子どもが安心して失敗したり、悩んだりできるようになるためには、子どもの日々の心の揺れ動きに付き合ってくれる大人の存在が欠かせないのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

広島文教大学 教育学部 教育学科 准教授 牧 亮太 先生

広島文教大学 教育学部 教育学科 准教授 牧 亮太 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

教育心理学

メッセージ

保育・幼児教育の現場をめざすなら、ぜひ「子ども」という存在への興味を深くもってほしいです。子どもは無邪気で可愛らしい反面、独自の発想力を発揮したり、大人に駆け引きを挑んで困らせたりするようになってきます。また、子どもは日々の遊びや小さな経験の中からさまざまなことを吸収しているからこそ、保育者はしっかりと観察して、必要なときに必要な関わりをしていくことが欠かせません。楽しいだけの仕事ではないからこそ、子どもへの興味関心を大切にし、子どもとのやりとりや生活を楽しんでほしいです。

広島文教大学に関心を持ったあなたは

教育学部では幼稚園、小学校、中学校・高等学校(国語・英語)の教員免許に加え、保育士資格なども取得可能。人間科学部には人間福祉・心理・人間栄養・グローバルコミュニケーションの4学科を設置。取得した資格を生かした就職率の高さが特徴。中・四国地区最大級の英語学修専用施設「BECC」には外国人教員含むスタッフが常駐し、英語学修をサポート。English onlyのフロアを設け英語漬けの空間で「英語を使いこなせる力」が身につきます。また、フィリピン・セブの海外姉妹校へ安価に留学できる制度もあります。