動くものにもプロジェクションマッピング!

動くものにもプロジェクションマッピング!

映像が動きに追随する

プロジェクションマッピングは、立体物の表面に映像を投影して、リアルとバーチャルを融合させる表現方法です。投影する対象は、建物のような静止しているものだけではありません。自在に動く対象物にも、その動きに追随して映像を映し出すプロジェクションマッピングが開発されています。

元素のカードゲーム

ある科学館に設置されていたゲームに、この技術が使われていました。元素に関するカードゲームで、数枚の白いカードには元素記号の映像が投影されており、来場者がカードを動かしたり、向きを変えたり、裏返したりしても、映像はカードにぴったりとついてきます。さらに、数枚を組み合わせて分子をつくると、その横には分子の情報が映像やアニメーションとともに紹介される吹き出しが映し出されます。例えば水素カードが2枚置かれると、その横には水素分子の説明が投影されます。そこに、さらに酸素カードを1枚加えると、映像は瞬時に水分子の説明に切り替わるのです。遊びながら化学を楽しく学べる仕組みになっています。

投影の仕組み

このゲームは、動的に変化する形状にゆがみなく映像投影するシステムとして研究開発された「アドレッサブル・スクリーン」という技術を利用したものです。カードには9点のマーカーが付けられており、カメラが各カードを見分けて、上下、傾斜、回転などのカードの動きを認識して投影する画像を追随させます。また、このマーカーによってカードの組み合わせも認識できるため、それに応じた映像コンテンツが付加されます。同じカードを用いて映像の内容をトランプに変えれば、例えばババ抜きでジョーカーを引いた時に、ジョーカーがにやりと笑うような仕掛けも可能です。
このような新しい技術は、その活用法からデザイナーが関わることで、技術を適切に社会転用できます。これからのデザイナーは、ものの外見を美しく整えるだけでなく、誰に向けて何を作るべきかを開発者と一緒に考えていく能力が求められます。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

東北芸術工科大学 デザイン工学部 プロダクトデザイン学科 教授(学部長) 酒井 聡 先生

東北芸術工科大学 デザイン工学部 プロダクトデザイン学科 教授(学部長) 酒井 聡 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

デザイン工学、メディアアート

メッセージ

進学先の大学を、高校の成績や模試の偏差値だけで決めるのと、本当に自分がやりたいことから選ぶのとは違って、大学に入ってからの学びの質が大きく変わってきます。今は昔よりも学べる分野も学び方も選択肢がたくさんあります。だからこそ、オープンキャンパスやインターネットなどを利用して、自分が本当に納得できる進学先を見つけてください。

先生への質問

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東北芸術工科大学に関心を持ったあなたは

1992年に開学した公設民営の大学です。デザイン工学部と芸術学部で15学科・コースがあり、「藝術立国」を教育理念に、「人と自然を思いやる想像力と、社会を変革する創造力を身につけ、自らの意思で未来を切り拓く人材の育成」を行っています。4年間で以下の能力を磨き、現代社会の抱える課題を解決できる人材育成を使命としています。
1. 想像力:本質を見ようとする姿勢、純粋な目
2. 創造力:想いを形にできる力
3. 意志:問題提起と解決への強い意志
4. 社会性:社会的・職業的自立のための能力・態度