技術革新とともに産業として飛躍をめざす宇宙開発分野

技術革新とともに産業として飛躍をめざす宇宙開発分野

宇宙産業の勃興

日本の宇宙開発はJAXA(宇宙航空研究開発機構)が牽引する形で進められてきましたが、近年その流れが変わりつつあります。コストは高くても高い信頼性が要求される事案は引き続きJAXAが担い続けます。その一方で、「多少成功確率は下がっても、低コストで機動的にロケットや人工衛星を打ち上げたい」というニーズの高まりに応えるべく、ほかの事業を営んでいた企業やベンチャー企業の参入が相次いでいます。国策による推進の時代を経て、一つの産業になりつつあり、その活力も取り込んで積極的な研究開発が行われています。

ロケットエンジンの開発

ロケット開発で難易度が高いのがエンジンです。その心臓部にあたるのがターボポンプという機械です。燃焼したガスの力を一部用いるなどしてタービンを回転させ、その力で水素などの燃料と酸素や酸化剤などの燃焼ガス生成物質を燃焼室に送る役割を担います。このターボポンプの出来が、ロケット開発や打ち上げの成否を大きく左右するため、その品質や信頼性の向上に、大学の研究者や開発陣はしのぎを削っています。

人工衛星を用いた太陽光発電も

2021年2月、超小型人工衛星「ひろがり」が米国のロケットで打ち上げられました。国際宇宙ステーションに滞在していた宇宙飛行士の野口聡一さんがそれを受け取り、宇宙空間に放出しました。見据えるのは宇宙における太陽光発電です。雲も夜もない宇宙では、地球よりもはるかに効率的に電力が得られ、それをマイクロ波で地球に送ろうという壮大な計画です。太陽光パネルを宇宙に運ぶ際には小さく折り畳み、それを宇宙空間で広げますが、その際に威力を発揮するのが、日本が誇る「折り紙工学」です。このように宇宙開発ではさまざまな分野の技術・学問が活躍します。宇宙関連の研究開発や実験には広い場所が必要ですが、宇宙ビジネスを志す企業が集まる北海道では、大樹(たいき)町にロケットや宇宙往還機の発着場となるスペースポートが建設されるなど、開発環境の整備も進んでいます。

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先生情報 / 大学情報

室蘭工業大学 航空宇宙機システム研究センター  教授 内海 政春 先生

室蘭工業大学 航空宇宙機システム研究センター 教授 内海 政春 先生

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航空宇宙工学、ロケット工学、熱力学

先生が目指すSDGs

メッセージ

大学とは、有意義な人生を送るための準備の場だという前提に立ち、大学で実践すべきことを私なりに3つ挙げます。
まずは、自分のやりたいこと、興味のあることを精一杯追究すること。2つ目は自分という存在を知り、見つめ直すこと。専門分野以外の学問を学ぶ機会も得られるので、そうした機会を通じて軌道修正を図るのもアリだと思います。3つ目は生涯の友を作ること。卒業後に、互いを思いやり刺激を与え合うという意味でも、また仕事上の人脈として生かすという意味でも、友はあなたの財産になるでしょう。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

室蘭工業大学に関心を持ったあなたは

北海道の工業都市で「ものづくりのマチ」である室蘭市に所在する室蘭工業大学は「地域貢献」を大きなキーワードとして掲げ、産業界で活躍しつづける幅広い理工系人材を育てるべく教育改革を行い、工学部から理工学部へと大きく進化しました。ものごとの本質をつかみ、探究心を養うべく理工学教育を全学的に充実させ、更にICTやAIの本質を理解して使いこなし、もの・価値づくりに貢献できる学生を育てる工業大学ならではの情報教育を推進しています。確かな研究力をベースとした教育力をキーワードとしている本学講義を体感ください!