心の居場所を求めて

心の居場所を求めて

居場所とは

居場所とは、本来、物理的に人が存在する場所のことで、住むところや活動の場を指します。しかし、時に人は、物理的な場所があるはずなのに、「居場所がない」と感じることがあります。ここで用いられる「居場所」とは、住むところや活動の場ではなく、多くの場合、心の居場所、つまり精神的な感覚を指しています。この心の居場所は、物理的な居場所とは異なるものと考えられ、「安心できる」「受け入れられる」「ありのままでいられる」「必要とされている」という4つの感覚から成り立っていることがわかっています。また、心の居場所があるということは、心の拠り所となる関係性、および、安心感があり、ありのままの自分を受容される場があるという感覚があることを意味しています。

一人でいられる力

心の居場所に関する調査をすると、一人でいる空間が自分の居場所だと答える人がいます。これは一見ネガティブに聞こえるかもしれませんが、逃げ道としての一人ではなく、一人で過ごせるということを肯定的に意味づけられることが非常に大事です。心理学的に見れば、大人になる過程において、「一人でいられる力」も必要だからです。自分自身としっかりと向き合って理解し、自分の軸をもっていればこそ、人と関わることも、一人の時間も心地よく感じられるのです。

集団の中の居場所

グループで誰かと一緒に過ごしていても、そこに所属している個人が実はしんどい思いをしている、ということがあるかもしれません。その場合、外から見れば、グループに所属している子どもたちには居場所があるように見えますが、本人は居場所がないと感じているのです。このようなケースでは、ありのままの自分を出すと、嫌われてしまうかもしれない、といった不安を感じ、自分らしさの表出が押さえつけているかもしれません。自分自身の存在を認めてもらえなければ、そこに居場所は感じられません。お互いを尊重し合いながら一緒にいられてこそ、そこに心の居場所ができるのです。

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先生情報 / 大学情報

和歌山大学 教育学部 心理学 准教授 則定 百合子 先生

和歌山大学 教育学部 心理学 准教授 則定 百合子 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

心理学

メッセージ

どのような人生を選んだとしても、心は、人が一生向き合っていくテーマの一つだと思います。生きていく上で、多かれ少なかれ、多くの人が様々な悩みや葛藤と直面していくことになります。
そのような時、心理学は何らかの示唆を与えてくれる非常に有意義な学問です。そして、もし教師をめざすのであれば、特に心理学をしっかりと勉強してもらいたいと思っています。多様なバックグラウンドをもち、様々な思いを抱えた子どもの心を理解するためには、心理学的な視点や知識をもっていることが必要不可欠だからです。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

和歌山大学に関心を持ったあなたは

和歌山大学は未来を託そうとする若者、保護者のみなさんの願いを受けとめ、若者とともに希望ある未来を創り出したいと決意しています。
新たな学びの場・新たな生活の場へ、期待とともに不安もあると思いますが、国立大学の強みは、学生数に対して教員数が多く、学生と先生の"つながり"が強固なことです。なかでも和歌山大学は、小規模クラス授業や対話的授業を重視するなどきめ細やかな教育と、行き届いた学生生活支援の体制を整えています。そして、卒業後の進路・就職を拓くキャリア・サポートには定評があります。