心の居場所を求めて
居場所とは
居場所とは、本来、物理的に人が存在する場所のことで、住むところや活動の場を指します。しかし、時に人は、物理的な場所があるはずなのに、「居場所がない」と感じることがあります。ここで用いられる「居場所」とは、住むところや活動の場ではなく、多くの場合、心の居場所、つまり精神的な感覚を指しています。この心の居場所は、物理的な居場所とは異なるものと考えられ、「安心できる」「受け入れられる」「ありのままでいられる」「必要とされている」という4つの感覚から成り立っていることがわかっています。また、心の居場所があるということは、心の拠り所となる関係性、および、安心感があり、ありのままの自分を受容される場があるという感覚があることを意味しています。
一人でいられる力
心の居場所に関する調査をすると、一人でいる空間が自分の居場所だと答える人がいます。これは一見ネガティブに聞こえるかもしれませんが、逃げ道としての一人ではなく、一人で過ごせるということを肯定的に意味づけられることが非常に大事です。心理学的に見れば、大人になる過程において、「一人でいられる力」も必要だからです。自分自身としっかりと向き合って理解し、自分の軸をもっていればこそ、人と関わることも、一人の時間も心地よく感じられるのです。
集団の中の居場所
グループで誰かと一緒に過ごしていても、そこに所属している個人が実はしんどい思いをしている、ということがあるかもしれません。その場合、外から見れば、グループに所属している子どもたちには居場所があるように見えますが、本人は居場所がないと感じているのです。このようなケースでは、ありのままの自分を出すと、嫌われてしまうかもしれない、といった不安を感じ、自分らしさの表出が押さえつけているかもしれません。自分自身の存在を認めてもらえなければ、そこに居場所は感じられません。お互いを尊重し合いながら一緒にいられてこそ、そこに心の居場所ができるのです。
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先生情報 / 大学情報
和歌山大学 教育学部 心理学 准教授 則定 百合子 先生
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