自然のチカラで暮らしも地球も、もっと豊かに
あらためて考える自然の「機能」
山や川、森、海、あるいは道路沿いの街路樹など、多くの自然が私たちの目に映ります。しかし、その自然がそれぞれ「機能」を持っていると考えることはあまりないのではないでしょうか。植物であれば二酸化炭素を吸収し酸素を排出する、蒸散による気化熱で周囲の温度を下げる、といったことを目の前にある自然と結びつけて日常的に意識することはほぼありません。
このような自然の持つ機能を分割して考え、フィールド調査を行うなどして評価し、それを生かした土地利用計画を実施すれば、私たちはより暮らしやすく、豊かな生活を送れるようになります。つまり、人工物の持つハード面での機能に、自然の機能をうまく組み合わせて広域な環境整備を行い、ひいてはそれを地方創生にもつなげていくのが緑地計画学の一つの目的です。
植物を活用したインフラ整備
近年、自然環境がもともと持つ機能を社会のさまざまな課題解決に活用しようとする、「グリーンインフラ」という考え方が広まっています。例えば、公共施設などでも見られる屋上緑化は、人に癒やしを与えるだけでなく、植物が持つ冷却効果を期待して設置されます。実際、施設の電気代などが減らせるといった経済的メリットも大きいとされているのです。
自然を保ち、生かすことで、人間も快適になります。人間にも、自然にもメリットが生まれる状態を創出する研究は、以前から各国の生物学、生態学、社会学や都市計画学などの研究者が連携することによって進められています。
地球にも影響を与えていく研究
このような研究は、農山村部で課題となっている人工林の管理、そのための人手不足などにも強く影響を与えます。自然の機能を理解し、人間の生活との強い関連性に気づけば、それを保全する側に回る人が増えると期待できるからです。そんな循環が確立できればさまざまな研究も生まれ、気候変動や生物多様性の損失といった地球規模での問題に対する解決策にも結びついていくはずです。
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先生情報 / 大学情報
公立鳥取環境大学 環境学部 環境学科 准教授 加藤 禎久 先生
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緑地計画学、グリーンインフラ、造園学先生が目指すSDGs
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