世界を語るポルトガル語とポルトガル語で語る世界
ポルトガル語は世界に広がっている
15世紀に大航海時代の先陣を切ったポルトガルは、行く先々で自らの言葉と文化を残しました。その遺産として、現在、ポルトガル語を公用語とする国は、ポルトガル以外にも、ブラジル、アフリカのアンゴラ、モザンビーク、アジアの東ティモール、など世界各地に9カ国あります。また、日本には今およそ30万人のポルトガル語話者、すなわち日系ブラジル人が暮らしています。思った以上にポルトガル語は身近な言語なのです。
「世界の大国」となりつつあるブラジル
ブラジルは1500年から1822年の独立まで実に300年以上もの間、ポルトガルの支配を受けていました。この間に、ポルトガル語はブラジル全土に普及していったのです。言葉は生きていますから、少しずつ変化し、今ではブラジルで話される言葉は、欧州ポルトガル語とは発音など違いが見られます。ブラジルは長らく「未来の大国」と呼ばれてきました。近年の経済発展、さらには2014年にサッカーワールドカップ、2016年にオリンピックも開催されており、ついに「現在の大国」となりました。
言葉の「威信」を守るポルトガル
いっぽうポルトガルは最初に大航海に乗り出した国として、一時期はスペインと世界を2分したものの、後に、イギリス、フランス、オランダなど当時の「新興国」の追い上げを受け覇権を失っていきます。とはいえ、現在のポルトガルに行ってみると、物価はそれなりに安いですし、人々はホスピタリティにあふれ、ほかの国にはない独特の魅力があります。そして言葉の点でいえば、ポルトガルとブラジルは、イギリスとアメリカの関係に似ているかもしれません。政治や経済などにおける国力としては、かつての力関係が逆転し、アメリカのほうが大国になりましたが、言語は、イギリス英語が「クイーンズ・イングリッシュ(イギリスの標準英語)」として、世界中で敬意を持たれ続けています。ポルトガル語についても同じようなことが言え、欧州のポルトガル語は今なお高い威信を保持しているのです。
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