看護実習のストレスを軽減 マインドフルネスの効果を探る

看護実習のストレスを軽減 マインドフルネスの効果を探る

看護学生が感じるストレス

看護学生は半年から9カ月ほどさまざまな臨床現場に実習に行きますが、そのなかで強いストレスに悩まされる人がいます。睡眠時間を削ってでも記録を書き残さなければならないなど、生活リズムが大きく変わるからです。また、知らない人ばかりがいる環境に強い緊張感を抱く学生もいます。学生が自分自身のメンタルヘルスに目を向けてストレスを管理できるようになれば、実習でよりよい学びができるはずです。

マインドフルネスの導入

ストレスマネジメントの方法として注目されているのが「マインドフルネス」です。これは、今の自分の身体や意識の状態を客観視して受け入れている状態を指し、ストレス解消にも有効だと考えられています。そこで実習中の看護学生に1日2分~10分など無理のない範囲でマインドフルネスに取り組んでもらい、その効果の検証が行われました。実践の前後に日常的なストレスをどれだけ感じているかを測る「心理的ストレス反応測定尺度」(SRS18)と、一般的な会社でも使われている簡易版ストレスチェックを受けてもらいます。するとマインドフルネス実践前に比べ、どちらの検査でも平均点が下がり、ストレスが軽減していることがわかりました。SRS18では、抑うつ、不安、怒り、無気力などに関連する項目も点数が下がっています。調査結果にさらに説得力を持たせるために、参加者を増やしたデータ収集が検討されています。

実践しやすいプログラムをめざして

海外でも看護学生のストレスマネジメントにマインドフルネスを用いている事例は多数見られます。ただし、海外の方法をそのまま導入するのではなく、日本の状況に合わせた改良が必要です。例えば、プログラムの内容です。マインドフルネスには呼吸法、瞑想(めいそう)、ヨガなどさまざまなプログラムがありますが、すべてを毎日行うことは困難です。日本の看護学生に最も効果的なプログラムや、短時間でも効果を最大化する方法などを見つけようと、研究が続けられています。

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先生情報 / 大学情報

帝京大学 福岡医療技術学部 看護学科 准教授 太田 光紀 先生

帝京大学 福岡医療技術学部 看護学科 准教授 太田 光紀 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

精神看護学、基礎看護学、看護教育学

先生が目指すSDGs

メッセージ

自分の関心や興味を追い求めることは素晴らしいですが、どんなことも突き進むうちに苦労するときが来ると思います。私はストレスを感じたら自転車に乗るなど好きなことをして身体を動かし、一度現実逃避をするようにしています。すると頭がスッキリして、また現実に向き合えるようになります。ほかの人に相談して違う視点の話を聞くことも、視野が開けてよいと感じています。あなたもよい気分転換の方法や、頼れる仲間を見つけてください。そして、あきらめずに初志貫徹してほしいです。

先生への質問

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帝京大学 福岡キャンパスは有明海に面した雄大な自然と最新設備が揃ったキャンパスです。理学療法、作業療法、看護、診療放射線、医療技術(救急救命・臨床工学)の5学科を擁する福岡医療技術学部では、現代の高度な医療に欠かせない知識や技術に加え、患者さんや他職種のスタッフへの想像力やコミュニケーション能力といったチーム医療に必要とされる素養を高めながら、大牟田市という歴史ある土地で官民一体となり、各自治体と連携しながらさまざまな取り組みを実施していくことで医療のプロとして地域に貢献できる人材を育成します。