AIでダイエット! 人生100年時代を支えるデジタル医療
長寿社会だからこそデジタル
2019年の日本人の平均寿命は男性81歳、女性87歳と世界トップレベルです。その背景には医療技術の進歩がありますが、膨らむ医療費は国の財政を圧迫しています。医療費を抑えるためには、病気になりにくい体にし、病気の兆しを早く見つけることが重要です。しかし、病院の待ち時間の長さや、忙しい、面倒くさいという理由から、重症化するまで診療を受けない人もいます。その解決策として注目されるのがデジタル技術と医療技術を融合した「デジタル医療」です。
食事を撮影するとAI栄養士が助言
人工知能(AI)の活用やスマートフォンのアプリの研究が進んでいます。例えばAIがダイエットを手伝う食生活・健康管理アプリが開発されています。具体的には、スマホで食事を撮影すると、カロリーや栄養素が自動計算され、「AI栄養士」による採点や、食生活などの助言が受けられる仕組みです。自分をモニターし、ゲーム感覚で楽しく健康管理が実践できるのです。ある調査では、このアプリによって1カ月で平均4キロ痩せるという成果が得られました。減量の結果、薬代を減らせた人や、薬がいらなくなった人も現れました。
眼鏡から「食べないで」の警告?
ただ、採点や助言をもらっても、AIの言うことを聞かなければ意味がありませんし、食べた後より、食べる前の指導の方が効果は期待できます。将来的には、食事を見ると、これ以上食べないように注意が表示されるウェアラブル眼鏡のようなものも実現するでしょう。
ゴーグルを着けることで仮想空間に入れるVR(バーチャルリアリティ)、AR(拡張現実)なども医療や予防医学、ヘルスケアの現場を変えようとしています。ポケモンGOのように、実際にゲームが人々の行動を変え、健康増進につながった例もあります。医療技術の地域間格差をなくすロボット手術やオンライン診療の導入も進みます。他分野の専門家や企業と手を組むデジタル医療の進化が、人生100年時代を支えていくと言えるでしょう。
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金沢大学 融合学域 先導学類 教授 米田 隆 先生
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