視覚障害のある選手を支える、安全で効果的なトレーニングとは?

視覚障害のある選手を支える、安全で効果的なトレーニングとは?

ブラインドサッカー選手の筋力、持久力

サッカー選手に求められる身体能力として、筋力、心肺持久力があります。ブラインドサッカー選手達がどの程度の能力を持っているのか調べるために、大学サッカー選手と共に、下半身の筋力や最大酸素摂取量(心肺持久力に直結する数値)の計測が行われました。するとブラインドサッカー選手のこれらの数値は、大学サッカー選手よりも低いことがわかりました。

特性に応じたサポートをするために

身体能力を上げるにはトレーニングが必要ですが、選手により改善すべき能力が異なるため、必要なトレーニングが選手毎に変わってきます。また、障害者スポーツでは障害や病気の種類によって身体の特徴が異なるため、その特徴を把握することで、より安全で効果的なトレーニングを検討できます。例えば視覚障害のひとつであるレーベル病は、ミトコンドリアDNAの変異によって視神経が萎縮してしまう病気です。ミトコンドリアはエネルギーの代謝にも影響を与えているため、レーベル病を抱えている選手は持久力に問題を抱えている可能性が現場でも指摘されており、研究が進められています。

新たなトレーニングを探る

身体能力を向上させたりケガを予防したりするためには、身体に高い負荷をかけたトレーニングも必要です。視覚障害があっても高い負荷をかけた安全なトレーニングができると注目されている方法のひとつが、フライホイールトレーニングです。高重量の重りを使用せず、車輪状のウェイトが回るときに生じる負荷を使って筋力を鍛えるため、バーベルのように落下する心配がなく、安全に実施できます。
また、ブラインドサッカー選手のトレーニングは高齢者にも応用できるかもしれません。人は年齢を重ねると、身体機能の低下とともに視覚に障害が起こりやすく、外出がおっくうになり、その結果さらに身体機能が低下するという負のスパイラルに陥りがちです。一方で視覚障害のある選手のトレーニングは屋内で安全に行えるメニューも多く、高齢者の体力維持にも利用可能と考えられます。

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筑波技術大学 保健科学部 保健学科 理学療法学専攻 講師 松井 康 先生

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メッセージ

今まで知らなかったものに出会ったとき、ふと将来の道が開けることがあります。私は高校生のときに初めて知ったことに興味を持ち、それが今につながりました。自分の目指す道を少しずつ進んでいく中で、教員として、研究者として、そしてスポーツトレーナーとして仕事をする場に今はいます。
自分が好きなことに打ち込んだり、興味を持ったことを調べたりする中で、将来のヒントが得られることがあります。自分を客観的に見ることも進路探しに役立ちます。何が得意か、どんな考えを持っているのかなど、あなた自身に質問してみましょう。

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