一人ひとりが、かけがえのない人生を幸せに送れるように
障害のある人を社会の周縁から引き戻す
障害のある人は他の人たちに比べ権利が守られないことがあり、虐待やネグレクト(放棄・放置)などを受けやすく、社会の周縁へと追いやられがちです。こうした人々が社会の中心(メインストリーム)に戻り、一人ひとりが幸せに生きることができる社会をつくるための研究が行われています。
アンケートやインタビューを通して障害者の世帯を調べ、最低限の生活さえできなかったり、最悪の場合は亡くなったりするリスクの度合いが分析されました。その結果、80代の親が50代の子を支援する「8050問題」といわれるように、高齢の親一人と子である障害者一人の世帯が非常にハイリスクであると示されました。そこで、約1,000件の事例を分析し、障害者世帯の危険度を測るチェックリストが作成されました。危険度の高い世帯をスクリーニングして支援を提供するといった活用が期待されています。
知的障害のある人の加齢と高齢化
知的障害者に関する問題の一つに加齢と高齢化があります。若くして亡くなることが多かった昔に比べ、現在は医療技術の進化や衛生面の改善により、長寿となりました。それに伴い、医療・健康診断へのアクセス、生活の場とケアのあり方が課題です。主な介護者である親がいなくなった「親亡き後」のケアの前に、実は障害者自身が「加齢による変化を迎えた親の介護」をどう乗り越えるのかという課題もあります。
社会のメインストリームでの生きやすさを広げる
ケアを担う人が障害児者に対して怒りやいら立ちを感じてしまうことがあり、ケアを担う人への支援も求められます。心理学的な手法を用いた「ペアレントトレーニング」など、医療や心理の専門職などとも連携して保護者・養護者が障害児者に対して適切な関わりができるよう支援していくことが大切です。また、地縁・血縁・社縁にとどまらない、すべての人が共生する新たなつながり・見守りのかたちを社会のメインストリームでつくる取り組みも始まっています。
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先生情報 / 大学情報
筑波大学 人間学群 障害科学類 助教 大村 美保 先生
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