「壁ドン」は犯罪? 日常生活にも関係する刑法を学ぼう
劇薬だけど、生活と無関係ではない刑法
刑法は、「死刑」という重い刑罰を科すことができるため、劇薬と言われることもあります。また、刑法で罰し、刑務所に入れることだけが社会の問題を解決する方法でもありません。こうした観点から、刑法は、私たちの日常生活にはあまり関与しません。しかし、私たちの生活と全く無関係でもありません。
「壁ドン」は、暴行罪や逮捕罪になる?
例えば、「壁ドン」は、若い女性の憧れのシーンとして、マンガやテレビドラマなどにも登場しますが、実はこの壁ドンは、場合によっては、暴行罪になってしまうのです。暴行罪には、「刃物を振り回す」「石を投げる」など、相手に直接怪我をさせない行為も含まれており、壁ドンも、壁に相手を押し付けることが危険とみなされれば、暴行罪になるのです。しかも、相手の動きを封じたと判断されれば、逮捕罪になってしまう可能性もあります。
壁ドンをされた側がそれをうれしいと思えば、同意があったとして、犯罪とはみなされません。しかし、嫌な思いをした場合は、暴行罪として訴えられかねないのです。
故意でなくても、注意を怠れば犯罪になる
犯罪は、故意に行ったかどうかで判断されるため、例えば、友人から借りたDVDをうっかり落として壊してしまったときは、処罰の対象にはなりません。ただし、うっかりしていたと言えば、すべてが許されるわけでもありません。車で事故を起こした場合、意図的でなかったとしても、処罰されます。それは、「車を運転する場合、普通ならば、これくらい注意するだろう」という基準があり、うっかりによる事故もその基準から外れたとして、処罰の対象になるのです。これは、車の運転に限ったものではありません。前出のDVDを誤って壊した場合も、落ちそうな場所に置いたなど、普通に想定される扱い方から外れたことで壊した場合は、うっかりであっても、処罰の対象になるのです。このように、刑法は身近なところにも関係しているのです。
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亜細亜大学 法学部 法律学科 准教授 山本 高子 先生
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