文芸学での学びと研究
文芸学の立ち位置
文芸学は、「文芸とは何か」について考えを深め研究をする学問です。文芸論を研究対象とすることもあれば、文学作品や神話・伝承・昔話なども研究対象とします。ここで言う文芸とは文学作品と重なる部分もあるわけですが、文学作品の研究自体は、例えば日本文学・英米文学・中国文学・ドイツ文学・フランス文学といった個別の言語・地域ごとに学問分野が分けられて、学びと研究がなされているのが一般的です。文芸学も、当然こういった個別の言語・地域ごとの文学作品研究の学問分野と関わりますが、その立ち位置に違いがあります。
文芸の定義として「芸術としての文学」ということが挙げられます。絵画や彫刻などの美術、写真や映画、音楽や演劇、そういった諸芸術の一ジャンルとして文芸があり、そして「芸術学」のという学問の一分野として、美学・美術史学・音楽学・演劇学などと隣接して文芸学という学問があるのです。
文芸論の研究
文芸学の研究の中で最も文芸学らしいと言えるのが、文芸論を研究し、それを経て、最終的に自分でも文芸論を提示していく、というものです。そこでまず重要な古典とされるのが、古代ギリシャの哲学者アリストテレスが著した『詩学』や古代ローマの詩人ホラティウスが著した『詩論』という作品です。これら両作品は後のヨーロッパ世界で文芸創作のみならず芸術創作全般に強く影響を与えてきました。これらを出発点とし、現代に至るまで、様々な作家・思想家・哲学者によって書かれた文芸論を研究します。
個別の作品研究と、言葉を大切にすること
文芸学では、個別の文学作品や、神話・伝承・昔話の研究をすることもできます。そういった個別の研究の積み重ねを経ることで「文芸とは何か」の認識に到達できるとも言えるからです。文芸論の研究にせよ個別の文学作品の研究にせよ、文芸学では「言葉」を大切にします。そのため、アリストテレスを読むなら古代ギリシャ語、ホラティウスを読むならラテン語というように、場合によっては、どれか外国語も専門的に学ぶことになります。
参考資料
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先生情報 / 大学情報
大阪大学 文学部 美学・文芸学専修 准教授 西井 奨 先生
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美学、文芸学、神話学、西洋古典学先生への質問
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