ゴキブリやドブネズミのこと、どのくらい知っていますか?
都市に暮らす身近な有害生物とは
普段の生活で、ゴキブリや蚊、ドブネズミなどを目にすることがあると思います。カーペットや寝具にも目に見えないほど小さなダニが潜んでいます。これらの動物は精神的な不快感をもたらすだけでなく、異物として食品に混入し、ときには病原体を伝播してヒトの健康に被害を及ぼすこともあります。そうした有害な動物のことを「衛生動物」と呼びます。衛生動物の多くは嫌われているため、駆除する方法ばかりが注目されてきました。その一方で、基礎的な生態調査はあまり行われておらず、意外にもよくわかっていないことが多く残されています。
縁の下の力持ち、綺麗な社会のために
日本は世界の中でも衛生的で、住みやすい国であると言われます。それもそのはず、綺麗な暮らしを実現するために先人たちが努力し、害虫や害獣を駆除するノウハウが蓄積されてきました。日々稼働する食品・製品工場では、被害を減らすために人知れず専門業者が活躍しています。空港や港でも同様です。ヒトの移動や荷物の輸送に伴って海外から持ち込まれる蚊やネズミを監視し、それらが保有する細菌やウイルスの拡散を防ぐための水際対策が続けられています。
生き物としての面白さを見つめ直す
嫌われ者でありながらも、あたりまえのように私たちの暮らしに溶け込んでいる衛生動物たち。なぜこんなに繁栄できているのでしょうか。すごいと思いませんか? 社会のグローバル化によって越境してくる衛生動物への対策はもちろん、身近な種に対する理解もまた重要な課題です。見過ごされてきた基本的な生態や系統による特性が見えてくれば、今後の駆除方法に大きく貢献する可能性があります。また、生態を詳しく知ることで、良き隣人としての新しい関わり方も見えてくるかもしれません。現在、さまざまな衛生動物を対象に、それらがどこから来てどのように進化してきたのか、あるいは都会でどのように暮らし生き延びてきたのかを知るための調査や実験が行われています。
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先生情報 / 大学情報
麻布大学 生命・環境科学部 環境科学科 講師 片平 浩孝 先生
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環境科学、生態学先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?