未来の住まいは木が主役? 森林資源の地産地消とは
森林資源が活用されない日本
日本は森林面積が国土の約2/3に相当します。現在は1950年代から植えられてきた大量のスギやヒノキ、カラマツが建築用材として適齢期を迎えています。ところが十分には活用されず、森林資源は増加を続けています。安価かつ安定した輸入木材のサプライチェーンが構築され、それに伴い地域に存在していた製材所や材木店は減少してしまいました。山の資源を大事に使って暮らしてきた日本人のライフスタイルも多様化し、森林資源と住まいの関係はどんどん希薄になっています。一方で木材は、コンクリートや鉄に比べ環境負荷が少なく、建物としての寿命を終えても再資源化されます。国産材を使えば輸送によるCO₂排出量も抑制できることから、森林資源の地産地消を提唱する声が高まっています。
カギは「地消」にあり!
森林資源の地産地消を実践している自治体もあります。山形県金山町では40年ほど前から特産の杉を使い、町の大工が町の家を建てる地域型木材住宅に取り組んできました。薪ストーブの燃料材としても活用されています。しかし建築価格の高騰などを背景に、近年は建材としての地消の力が弱まりつつあります。そこで燃料としての利用に着目し、室内温熱環境や価格面など、電気や灯油から薪に変えるメリットを明らかにしながら、さらなる薪ストーブの普及を促進し、町の産業である林業の継続をめざしています。
「木でつくり、木で動く家」をめざせ
建物の材料も、使うエネルギーも、地域にある身近な材料でまかなう「木でつくり、木で動く家」が、未来の住まいの主流になるかもしれません。たとえ世界的なエネルギー危機に直面しても、外部に依存せず地域資源で成り立つ家なら支障なく暮らしていけるでしょう。森林資源の地産地消のお手本ともいえる家はわずかながら現存しています。地域の気候風土に対応してきた過去の知恵や工夫を学び、その良い点と、現代の住まいの良い点を組み合わせることで、未来の住まいのデザインのあり方が見えてきます。
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