生活者の視点から快適で安全な住居を研究する「住居学」
安全で快適な「住まい」を考える
人間には誰にでも住居が必要です。快適で安全な住居はどうあるべきかを、生活者の視点から研究するのが、住居学です。建築学では、さまざまな建築用途の1つとしてしか住居の設計を学びません。しかし住居学では、そこに住む人のライフスタイルやニーズを掘り下げ、心地よく安全に住めることを重視しながら住居の設計を行います。家族や居住者間のコミュニケーションを促進するための間取り、立地を考慮した耐震構造、地域コミュニティとの関係性の構築なども、重要なポイントとなります。ここに、住居学の特質があるのです。
ますます注目される防災の観点
快適で安全な住居を考えたとき、地震や津波、台風といった自然災害から住む人の命を守る観点は不可欠です。世界有数の地震国である日本には、厳格な耐震性基準があり、人々の地震に対する知識レベルも決して低くはありません。しかし、自分の住居が地震や災害に対してどのくらい安全なのかという点については、多くの人の関心はそれほど高いとは言えません。家具を固定したり、食料を備蓄したりするなどの防災対策はやや関心が高まってきましたが、建物そのものの安全性はどのくらいあるのか、土地は崩れたり液状化したりしないのか、といったレベルで住まいのリスクを考えている日本人は、実はあまり多くないのです。
リスクコミュニケーションも住居学の必須の分野
2011年の東日本大震災以降も日本は地震が頻発する時代にあります。今後、住まいを考えるときには、土地や建物そのものの安全性についても、しっかりとした知識と考え方をもって対応することが、ますます重要になっています。そのためには、住居に対してどのようなリスクがあり、どうしたら危険を回避できるのかというセンスを養い、住居をつくる専門家と対話するリスクコミュニケーションの能力を培うことが不可欠の課題と言えます。住居学は住まい手・地域との対話(コミュニケーション)を重視しますが、リスクもその一端を担う大切な学問なのです。
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先生情報 / 大学情報
日本女子大学 建築デザイン学部 建築デザイン学科 ※2024年開設 教授 平田 京子 先生
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