紛争後の社会に平和をもたらすには? 国際的な平和協力を考える

紛争後の社会に平和をもたらすには? 国際的な平和協力を考える

平和維持活動(PKO)の活動とは?

世界では多くの武力紛争が起きており、国際社会は犠牲者を増やさないための対処を試みています。その一つが国連平和維持活動(PKO)です。PKOのもともとの役割は、戦争をした国々が停戦合意を破らないように監視することです。しかし1990年代からは、国の新たな政府づくりや選挙の支援、治安維持、武装勢力から現地の人々を守るなど、活動内容が増えていきました。紛争後の社会に対する包括的な支援が増えたことと、人々を守るための軍事的な対応が期待されていることが、PKOの大きな変化です。

犠牲者を増やさないために

PKOの活動内容が増えた背景の一つが、過去の反省です。例えば1994年にルワンダで大量虐殺が起きたとき、現地のPKOは許可されている活動内容に制限があったために人々を守れませんでした。犠牲者を増やさないための行動を起こせるようにすべきだったことから、活動の幅が広がっていきました。
しかし紛争の状況は複雑さを増しており、政府軍と反政府武装勢力の対立だけでなく、テロ組織や民間軍事会社などの介入も見られます。その結果、PKOのような国際平和協力活動がうまくいかない事態も増えてきました。

国際政治の観点から考える

PKOが機能しにくくなっている現状を変えるために、どうしたらよいのか専門家の間でも議論が続いていますが、活動内容を一度整理して、本当に必要な対処に集中できるようにすべきとの考えはしばしば聞かれます。その関連で、PKO以外で行われているさまざまな国際支援との連携なども模索されています。
また、国際政治の観点からPKOを考えることも重要とされています。そもそも国連安全保障理事会での合意が得られないとPKOの活動内容は決まりませんが、ロシアやアメリカなど大国間の関係が悪化したことで、協力しにくい状況が続いています。国際平和協力全体の今後のあり方を考えるためにも、国家間の関係の変化に目を向けることが求められています。

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先生情報 / 大学情報

静岡県立大学 国際関係学部 国際関係学科 教授 山下 光 先生

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国際政治学

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メッセージ

国際平和や社会の平和を考えるためには、紛争などの現実についても理解する必要があります。知らなければ、平和に向けての具体的な行動を考えにくいからです。残念なことに、紛争や戦争は今も世界各地で起きています。平和を考えるためにはこうした状況から目を背けないことが大切ですし、争いのあとには平和が待っていなければなりません。だからこそ、あなたにも平和に関心を持ってほしいです。紛争や安全保障について学べば、よりリアルな国際関係や平和に向けた活動をイメージできるようになるでしょう。

先生への質問

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静岡県立大学は、5学部9学科を有し、国際化・情報化・高齢化・環境問題という21世紀における最重要課題を展望しつつ、新しい時代を支える有為な人材の育成を目的としています。自主性や公共性を強く意識し、地域社会からの評価を得られるように、大交流時代において選ばれる大学を目指します。研究分野では、文科省のグローバルCOEプログラムに採択され、研究レベルが国内トップクラスといえます。