親子ゲンカも、恋愛の悩みも、発達心理学で解き明かす

発達は一生のプロセス
「発達」といえば、体が成長してさまざまなことができるようになることだと思うかもしれません。しかし実際には、母親の胎内にいる時から人生を終えるまでもずっと、人の心や体は変化し続けており、プラス面もマイナス面も含めて、そのプロセス全体を発達といいます。また、発達は生物学的なことだけでなく、文化や時代など環境からも影響を受けます。発達心理学者のエリクソンは、乳幼児期から老年期まで、人生を8つの段階で考えました。例えば青年期は、「自分は何者か」といった自己の確立を模索することが大きなテーマです。その過程では不安や迷いが生じたり、親から心理的に自立するために葛藤を感じたりするとされています。
母娘の日々のやりとりの記録から
発達心理学の視点から見ると、高校生は「青年期」にあたります。親子関係が大きく変わる転換の時期であり、関係を新しく作り直す再形成の時期です。この時期は、子どもから大人へと成長する移行期であり、「心理的離乳」という言葉で表されるように、親から精神的に自立していく、つまり「親離れ」の時期でもあるのです。
複数の親子を対象に、親と子がお互いにどう関わり合っているかを調べた研究があります。この研究では毎日の親子のやりとりという時間軸に沿って、その影響がどう変化していくかも詳しく分析されました。このような視点はこれまでの研究にはあまりなく、新しいアプローチと言えます。
この研究により、親子関係が一方的なものではなく、お互いに影響し合いながら変化していく過程が明らかになりました。
葛藤があるからこそ
親子間での葛藤だけでなく、青年期には友人関係や恋愛で悩み、「自分がどうしていけばいいのかわからない」という状態に陥ることがあります。しかし、このような心理的な危機に陥らない方がいいわけではありません。そういった経験を通じて、徐々に「自分らしさ」を見つけていき、他者を尊重する気持ちや社会性の発達にもつながっていきます。
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