モノの移動にはお金がかかる! 最適なコストを探ってみよう
費用のかからない場所はどこ?
あなたは、「なぜここには、こんなにビールメーカーの工場がひしめいているのだろう?」と不思議に思ったことはありませんか。お酒やビールの製造には、水の豊かな水源地の周辺が選ばれています。しかし製品となった瓶や缶は、大きさに対して重量があり、それだけ輸送コストがかかります。そのコストをなるべく減らすために、近年は、工場を高速道路のインターチェンジ近くといった、道路インフラが整い輸送に便利な場所に置くようになりました。一方で、電子産業のチップといった軽くてコンパクトな物は、輸送コストをあまり考えずにすみます。それよりも空気や水のきれいな場所といった環境条件の方が大切で、むしろ地方に製造工場を置くのが適しています。このように産業が集まったり点在したりといった現象は、輸送コストという条件によって大きく違ってきます。
輸送コストに注目
約30年前、日本企業の工場は東南アジアへ盛んに進出していました。例えばタイの大きな工場ですべての部品を製造するケースもあれば、エンジンなどの基幹部品は日本で製造し、それをアジアの工場へ運んで組み立てるケース、あるいは1つの国にメイン工場を建て、その周辺の国に関連工場を建てて、作ったものをメイン工場で完成させるケースなどもありました。その国の情勢や労働賃金といった条件も考慮しますが、グローバルな貿易を展開する際に欠かせない条件が、かかる輸送コストです。輸送や人の移動コストを下げる方法や、その効果といった問題を考えるのに、必要なデータを集められれば数値で表すことが可能です。
世の中を便利にする選択を
日本では、東京への一極集中を解消すべきだと長年言われてきました。最近ではコロナ禍もあってオンライン技術が進み、工場や本社機能、部署の一部を地方に移す企業もあります。こうした世の中の動きの手助けとして、経済学が人や企業にとってよりよい選択肢の1つを提供できれば、地方創生の一助になるでしょう。
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麗澤大学 経済学部 経済学科 准教授 池川 真里亜 先生
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