EUはどうして世界の環境政策をリードしているのか
環境政策に強みを持つEUとは何か
EU(欧州連合)はヨーロッパ各国の経済的な結びつきを強めるだけでなく、実は政治的にもさまざまな動きのある地域の連合体です。EUには、27カ国が加盟しています。EUとして政策の全体方針を決めることで、加盟国がその方針に従って各国内の法律を整備し、政策を実行しています。そのようなEUには「環境統合原則」があり、すべての政策分野で環境への配慮をしなければならないほど、環境保護に熱心です。EUでは環境保護に関する知見やノウハウが蓄積されており、27カ国で環境政策を実行していることから、グローバル社会への一定の効果と影響力を発揮しています。
気候変動問題とグローバル社会
気候変動問題の重要性はグローバル社会でも認識されるようになりました。2015 年に採択された温室効果ガス排出削減の枠組みであるパリ協定は、グローバル社会での気候変動対策として一つの成果です。しかし、すべての対策が具体的にスムーズに決まっているわけではなく、各国は話し合いを継続しています。ここでは、世界の環境政策にとって先駆けとなったEUの経験(一つの方針を決めるまでに、さまざまな意見や立場を調整して法律を整えていること)を見てみましょう。
EUのプラスチック規制の事例
各国の意見調整は骨が折れるものですが、EUとして一つにまとまって環境政策を発信するメリットもあります。それは、EUが具体的な環境政策を実践することでグローバル社会での存在感を発揮し、新しい制度をつくるための交渉が可能になることです。例えば、環境を汚染するプラスチックに対して規制すべきかどうかの議論はグローバル社会で始まったばかりですが、EUにおいてはプラスチック規制が着々と進んでいます。こうしたEUの中でのルールづくりや他国への影響を見ていくことで、環境政策の未来が見えてくるのです。
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