工学の技術と人文・社会科学の知識を結びつけた防災計画を
復興を進めていく上で大切なこと
東日本大震災の復興では、工学的な見地に人文・社会科学分野の知見を融合した発想が求められています。都市計画に従って、一見完成された街ができあがったとしても、住む人々の心や街の歴史、なじんだ文化などが無視されてしまえば、それは真に復興したとは言えません。心理学や社会学、地域史、文化史といった分野の専門的見地に基づいて、地域の実情をすくい上げ、研究者と地域が融合しながら奥行きのある立案をしていくのが理想です。また、行政側も、人や社会に優しい工学技術のことを理解してもらった上で、その技術を活用できる施策ができると、復興はスムーズになります。専門分野を横断したコミュニケーションが重要なのです。
「防災・減災・復興」のために
技術でできる対策の範囲には限界があります。ですから防災では、どこまで防げるかを技術者が真摯に説明する必要があります。専門家ではない人に、現在の技術でできることを理解してもらうことが大事です。減災も同様に、科学的に被害の程度を予測する努力が前提で、その結果、被害を減じる方法を提案・証明してこその減災と言えます。不幸にも被災した人々は復興しなければなりません。集団移転をうながして防波堤をつくった後は自助努力で、というのではなく、人々が、その地域、社会で誇りを持って生きていく環境を整えていくことが大切です。さまざまな知識をリンクさせた「防災・減災・復興学」という新しい学問体系が求められます。
リーダーシップを取るのは?
復興の現場で人文・社会・自然科学のさまざまな分野の専門家が集まった際に、誰がリーダーシップを取るかという問題が持ち上がります。土木分野の技術者・研究者ならば、基本的に現地に行って、現場を目で見て知っており、住んでいる人の顔も見ています。また、技術でできることの限界を説得力をもって語れるのも土木分野の経験があってこそです。土木工学を学んだ立場ならではのコーディネートができることによって、よきリーダーとなれるのです。
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先生情報 / 大学情報
関東学院大学 理工学部 土木・都市防災コース 教授 規矩 大義 先生
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土木工学先生への質問
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