骨密度を上げる意外なものとは? 食品が持つ驚きの機能

骨密度を上げる意外なものとは? 食品が持つ驚きの機能

アレルギーを抑える食べ物

私たちが普段食べている食品や天然物には、まだ知られていない健康に役立つ機能がたくさんあります。そのような食品の健康機能を探る研究が行われています。
アレルギー物質(アレルゲン)が体に入ると、それに対する抗体が作られて、免疫細胞に結合します。そこへ再度アレルゲンが侵入して抗体に結合すると、免疫細胞からアレルギー症状の原因となる成分が放出されます。これがアレルギーの仕組みです。例えば石川県の能登半島では、ほかの地域に比べて多くの種類の海藻が食べられていますが、これらの海藻の中に抗体の産生を抑えるものがあることがわかってきました。その成分を海藻から抽出して、サプリメントなどに利用できないか検証されています。

骨密度改善に高い効果

骨の代謝は、骨を作る骨芽細胞と骨を壊す破骨細胞のバランスの上に成り立っています。ところが女性の場合、40代後半以降女性ホルモンの低下によってこのバランスが崩れ、骨密度が減って骨粗しょう症を引き起こす傾向にあります。この骨密度の改善に効果があるのが、ツバキの葉です。ツバキの仲間のお茶には骨芽細胞を活性化させる効果がありますが、ツバキの葉の抽出物には破骨細胞の抑制作用もあります。ただし、ツバキの葉はそのままでは苦みやえぐみが強いことから、ローストして加賀棒茶とブレンドし、骨粗しょう症のボランティアに半年間飲んでもらったところ、骨密度が大幅に改善されました。効果を維持するには継続して服用する必要があるため、価格を抑えた商品化が目標とされています。

ハトムギで肌の保湿力アップ

ハトムギの実を使った化粧水や美容液は知られていますが、ハトムギの茎や葉にも肌に良い成分があることがわかってきました。皮膚の表皮細胞の内側にはうるおい成分を保つための網目構造がありますが、この網目構造は紫外線などによって壊れてしまいます。ハトムギの茎や葉の成分には網目構造を増やす働きがあり、入浴剤などへの利用が期待されています。

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石川県立大学 生物資源環境学部 食品科学科 准教授 西本 壮吾 先生

石川県立大学 生物資源環境学部 食品科学科 准教授 西本 壮吾 先生

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食品免疫学、動物細胞工学、予防医学

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メッセージ

小中高での勉強は授業が主体で、与えられた課題をこなすのが中心でしょう。それに対して大学での学問は、自分自身で「これはどういうことなのかな」と考えて、そこからどんどん発展させていくというものです。自分が動かなければ何も得られませんが、求めれば求めるだけ大学の先生は力になってくれます。それが大学の強み、面白さです。積極的に自分から動いて、たくさんのものを求める姿勢を忘れないでほしいです。いろいろなことに興味を持って、それを知ろうとする探究心を育てていってください。

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人間の暮らしの根幹を支えている農業生産。その基盤となる自然環境。そして食べるということ。そうした人と自然との関わりをしっかりと見つめ、未来へ生かしていこうとすること。そんな思いを実現するために、本学では少人数制での指導体制(卒業研究指導時、教員1人に対し学生3人以下)を取っています。結果、就職率100%、官公庁就職率25%(2020年3月卒業生)という実績を上げており、地域社会のニーズに応えられるよう努めています。「住みよさランキング2020」全国1位の「ののいち」で私たちと一緒に学びませんか。