インターネットは新聞やテレビに取って代わるのか?

インターネットは新聞やテレビに取って代わるのか?

誰もが情報発信できる時代

20世紀の終わりまで、情報発信をするのは、新聞、テレビ、ラジオなどのマスメディアに限られていました。その後インターネットが普及し、SNSが浸透した現在、誰もが情報発信できる時代になっています。だからといって、情報発信が上手にできているとは言いきれません。
テクノロジーの発達とともに、インターネットの可能性がますます広がる一方で、急速な普及による弊害も生まれています。さまざまな課題を克服しつつ、どのようにインターネットを利用していくかということが、メディア業界を考える上でも重要です。

民主主義を支えてきた既存メディア

インターネットが浸透してきた際、新聞やテレビなど伝統的なメディアは、生き残るためのさまざまな対策をとってきました。それでも新聞の購買数は大きく落ち込み、新聞社はインターネットに「敗北した」と見られています。ただし、ネットニュースが新聞報道の代わりになるかといえば、そこには大きな違いがあります。ビジネスとしての採算を重視したインターネットのメディアでは、人々の関心のあることを優先して取り上げる傾向があり、社会にとって本当に重要な情報が後回しにされる危険性があります。
マスメディアによる報道とは、時の政府を監視するなどの点で、民主主義を支える根幹と言ってもいい存在です。今後も民主主義を守っていくためには、伝統的なメディアはもちろん、インターネットメディアをどのようにビジネスとして成立させるかを模索しなければならないでしょう。

必要とされる「エデュテインメント」

ネットメディアのニュースが商業主義に偏らないようにするためには、消費者自体がもっと社会に対する関心を持つなどの変化も大切です。そのためには、エンターテインメントの中で何かを学ぶ「エデュテインメント」が効果的だと考えられます。ゲーム業界では社会問題を考えるようなシナリオ重視のゲームが増えつつあるように、娯楽を問題意識につなげる方法はいろいろあると言えます。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

東京都市大学 メディア情報学部 社会メディア学科 教授 奥村 倫弘 先生

東京都市大学 メディア情報学部 社会メディア学科 教授 奥村 倫弘 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

インターネットメディア論

メッセージ

高校生のあなたには、とにかく自分の好きなこと、得意なことを一日も早く見つけて、それに打ち込むことをおすすめします。文系分野の場合、専門知識はもちろん大切ですが、ものの見方や考え方こそが、大学で得るべきものです。自分の興味関心に近しい学問を見つけて、理解を深めていきつつ、幅広い教養を身につけることが、世の中を楽しみ、知りたいことを追究していくことにつながると思います。知りたいことを追究するのは、つらい「勉強」ではなく、楽しい「学び」となるはずです。

東京都市大学に関心を持ったあなたは

2029年に100周年を迎える東京都市大学は2009年に武蔵工業大学から校名を変更。武蔵工業大学時代の伝統を引き継ぎつつ、自動車、エネルギー、建築、情報といった理工学分野に加え、環境、IoT、メディア、教育など数多くの専門分野を網羅する総合大学として成長を重ねています。今後も東急グループの一員としての強みを生かし、産学連携や地域社会との共同研究を積極的に進めつつ、未来の都市生活を創造し、そのなかで能力を発揮できる専門性と実践力を養成する「都市の総合大学」として、たゆまぬ発展を続けていきます。