成果はダイエットから難病まで ミトコンドリアの謎を解明せよ!
ミトコンドリアが健康を左右
一つの細胞内に数百~数千個あるミトコンドリアは、代謝や老化に関わる病気、アルツハイマー病などの神経変性疾患にも関わっているといわれています。ミトコンドリアの活動が衰えると健康状態が悪くなるため、例えばミトコンドリアのエネルギー生成の活発さが、その人の太りやすさに関わっている可能性もあります。
ミトコンドリアは細胞の中で融合と分裂を繰り返しながら活動していますが、その詳しいメカニズムは不明点が多く、それを解明することで、さまざまな病気の新たな治療法に結び付く可能性があります。
取り出された融合に関わる酵素
ミトコンドリアは、機能が衰えるとほかのミトコンドリアと融合することでまた活発に活動できるようになります。そのメカニズム解明に向けて新たな実験方法が開発されました。融合に関わるタンパク質(酵素)を作り出せるようになったため、試験管の中でそのタンパク質を含んだミトコンドリアの膜を人工的に作ることで、融合プロセスの観察が可能になったのです。実物を顕微鏡で見ていた時と比べて、研究のスピードが格段にアップしました。
さまざまな条件下で実験して融合を促す方法が見つかれば、ミトコンドリアの活性を高めて病気を治す方法や効果的なダイエット法などの開発につながるかもしれません。
ミトコンドリアDNAの研究も進化
また、ミトコンドリアDNAを生きた細胞の中で見る研究も進んでいます。ミトコンドリアは細胞核の中にあるDNAとは別に、自身のDNAを持っています。たくさんのミトコンドリアの中に分散しており、各ミトコンドリアが同じDNAを持たなくなった時には、ミトコンドリア同士がそれぞれの内容物を交換し合って働いています。
最近になって、ミトコンドリアDNAの分散を生きた細胞で観察する技術が開発されました。その研究から、ミトコンドリアDNAが広く分散している方が、うまく働くことがわかってきました。そこでさらにDNAをうまく分散させてミトコンドリアの活性を高める研究も進められています。
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