講義No.13656 生物学 医学

成果はダイエットから難病まで ミトコンドリアの謎を解明せよ!

成果はダイエットから難病まで ミトコンドリアの謎を解明せよ!

ミトコンドリアが健康を左右

一つの細胞内に数百~数千個あるミトコンドリアは、代謝や老化に関わる病気、アルツハイマー病などの神経変性疾患にも関わっているといわれています。ミトコンドリアの活動が衰えると健康状態が悪くなるため、例えばミトコンドリアのエネルギー生成の活発さが、その人の太りやすさに関わっている可能性もあります。
ミトコンドリアは細胞の中で融合と分裂を繰り返しながら活動していますが、その詳しいメカニズムは不明点が多く、それを解明することで、さまざまな病気の新たな治療法に結び付く可能性があります。

取り出された融合に関わる酵素

ミトコンドリアは、機能が衰えるとほかのミトコンドリアと融合することでまた活発に活動できるようになります。そのメカニズム解明に向けて新たな実験方法が開発されました。融合に関わるタンパク質(酵素)を作り出せるようになったため、試験管の中でそのタンパク質を含んだミトコンドリアの膜を人工的に作ることで、融合プロセスの観察が可能になったのです。実物を顕微鏡で見ていた時と比べて、研究のスピードが格段にアップしました。
さまざまな条件下で実験して融合を促す方法が見つかれば、ミトコンドリアの活性を高めて病気を治す方法や効果的なダイエット法などの開発につながるかもしれません。

ミトコンドリアDNAの研究も進化

また、ミトコンドリアDNAを生きた細胞の中で見る研究も進んでいます。ミトコンドリアは細胞核の中にあるDNAとは別に、自身のDNAを持っています。たくさんのミトコンドリアの中に分散しており、各ミトコンドリアが同じDNAを持たなくなった時には、ミトコンドリア同士がそれぞれの内容物を交換し合って働いています。
最近になって、ミトコンドリアDNAの分散を生きた細胞で観察する技術が開発されました。その研究から、ミトコンドリアDNAが広く分散している方が、うまく働くことがわかってきました。そこでさらにDNAをうまく分散させてミトコンドリアの活性を高める研究も進められています。

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先生情報 / 大学情報

大阪大学 理学部 生物科学科 教授 石原 直忠 先生

大阪大学 理学部 生物科学科 教授 石原 直忠 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

細胞生物学、ミトコンドリア学

先生が目指すSDGs

メッセージ

理学部で行う基礎研究は、いろいろな領域につながります。深く、広く勉強できて、勉強すればするほど面白いことにつながるので、将来やりたいことが今は決まっていなくても、自分の可能性を広げて「これだ!」というものを見つけられるのではないでしょうか。また、最近では大人数が関わる研究プロジェクトも多いのですが、その場合は役割が分担されます。本学の理学部生物科学科では一人で仮説を立てて実験をすることが多く、そこで失敗しても、そのこと自体が一つの発見となるため、そこがとても面白いと思います。

大阪大学に関心を持ったあなたは

自由な学風と進取の精神が伝統である大阪大学は、学術研究でも生命科学をはじめ各分野で多くの研究者が世界を舞台に活躍、阪大の名を高めています。その理由は、モットーである「地域に生き世界に伸びる」を忠実に実践してきたからです。阪大の特色は、この理念に全てが集約されています。また、大阪大学は、常に発展し続ける大学です。新たな試みに果敢に挑戦し、異質なものを迎え入れ、脱皮を繰り返すみずみずしい息吹がキャンパスに満ち溢れています。