ベトナム人技能実習生を通して考える、多文化共生社会のあり方
ベトナム人技能実習生
日本で働く外国人の中で、近年特に増加しているのがベトナム人です。「外国人技能実習制度」で来日する人が多く、同制度は技能実習生が日本の技能や技術、知識を身につけて、帰国後に自国の発展のために生かすことを目的としています。一方で、同制度では最低賃金に近い条件で働く人が多く、それを理由に同情の対象とされることや、「行方がわからなくなった」「犯罪に関与した」といったネガティブな言説が目立つことも事実です。ただし犯罪に関しては、日本国籍を持つ人もそうでない人も、日本国内で罪を犯す人の割合は変らないことが統計から立証されています。
若い時は日本で働け
では、当事者であるベトナム人技能実習生たちはどのような思いなのでしょうか。ある調査では、日本での技能実習を終えて帰国したベトナム人のうち、半数以上が「もう一度日本で働きたい」と答えました。ベトナムと比べ生活環境が整っている日本で暮らしたいと考える人が多いのです。また「若い時は日本に行け」という言葉が現地で流通しているように、日本で働くことは個人の成長につながるとも考えられています。一方、日本での実習期間中は、受け入れ先から「昭和の若者」のように素直で純朴なふるまいを求められることもあります。過度に干渉されるケースも見られ、これが嫌で逃亡してしまう人も出てきているのです。
外国人は労働力ではない
私たちの多くは報道やSNSの投稿などを通して日本で働くベトナム人のイメージができあがりますが、当事者に直接話を聞いてみることで、さまざまな思いや経験に触れられます。彼・彼女たちは単なる「労働力」ではなく、スマートフォンやゲームに親しみ、プライベートも大事にしたい、日本の若者と変わらない側面も有しています。時には外国人支援のボランティアなどを通して信頼関係を築き、リアルな思いを引き出してそれらを記録・分析する研究は、これから日本が多文化共生型の社会をつくっていく上で非常に重要な意味を持つでしょう。
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先生情報 / 大学情報
武庫川女子大学 文学部 英語グローバル学科 グローバル・コミュニケーション専攻 講師 加藤 丈太郎 先生
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