心と体はつながっている 脳腸相関で見る栄養・運動と心の関係

心と体はつながっている 脳腸相関で見る栄養・運動と心の関係

互いに影響し合う脳と腸

心の健康は体の健康と密接に関連し合っていることがわかっています。それをよく表しているのが「脳腸相関」という言葉です。脳と腸は互いに影響し合っている、という意味です。腸の状態がよいと、脳(心・精神)の状態がよく、逆に、精神状態が良ければ腹の調子もよい、という具合です。さらに近年は「脳‐腸‐腸内細菌相関」ということが言われています。腸内細菌叢を整えるとストレスや睡眠が改善されることが明らかになってきています。腸内細菌叢を整えて精神状態や睡眠を整えようとの働きかけも出てきています。

栄養バランスの取れた食事で精神も安定

腸を健康にするには、腸内細菌のえさとなる食物繊維を多く含む食品や、ヨーグルトなど善玉菌を増やす食品を取るとよいと言われています。また、精神状態を落ち着かせるためには、リラックスするときの神経伝達物質「セロトニン」の材料となるタンパク質(アミノ酸)をしっかりとることが大切です。さらに、魚に含まれる脂質の一種「オメガ3脂肪酸」が、脳の神経細胞を健康に働かせることもわかっています。
腸と脳、体と心、どちらかの具合が悪ければもう一方も悪くなるので、どちらも健康になるように栄養バランスの取れた食事が大切だということです。大学生を対象とした調査研究でも、栄養バランスのよい食生活をしている学生には、気分が沈む抑うつ傾向が少なかったという結果が出ています。

生活習慣が健康をつくる-運動も睡眠も

心身の健康には運動も大切です。ストレスを感じると、ストレスに対抗するための副腎皮質ホルモンが分泌されますが、運動後は副腎皮質ホルモンの値が下がることがわかっています。つまり、運動はストレスを軽減する効果があるのです。
このように、脳も含めた人間の体のいろいろな部分が、複雑な仕組みでつながって影響し合っています。社会には健康や美容に関する情報があふれていますが、バランスの取れた食生活をし、運動もして、十分な睡眠も取ってと、生活習慣全般に気を配ることが心にも体にも大切なのです。

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創価大学 看護学部 看護学科 准教授 五味 千帆 先生

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進路を考えるときは、やりたいことをしっかり見つけて主体的に取り組んでほしいです。もし、「誰かの役に立つこと」に興味があるなら、看護はとてもやりがいのある分野です。決して楽な仕事ではありませんが、誰かの人生に関われるという大きな魅力があります。患者さんの治療に寄り添うことだけでなく、病気を乗り越えて人生を歩んでいく姿に触れることもできるからです。また、複雑な状況でも迅速で正しい判断が求められることが多く、経験から学びながら自分の成長を実感できることも、やりがいの一つです。

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創立以来、学生と教職員が大学を創る者として、互いに対話、研鑽を重ねながら大学の価値を高めてきました。こうした教育・研究および社会貢献の成果は、文部科学省のGP(Good Practice)採択など、外部からの高い評価となり、普遍的な価値として、現代の大学教育に大きな示唆を与えています。また国際化が叫ばれる中、62カ国・地域、225大学との交流協定は、真の国際人養成に大いに貢献できることでしょう。