音の出るトランプで遊ぼう! エンタメをバリアフリーに

音の出るトランプで遊ぼう! エンタメをバリアフリーに

目が見えない人も遊べるテーブルゲーム

目が見えない人と見える人が一緒にトランプを楽しむ方法はあるでしょうか。点字つきのトランプはありますが、点字がわかるのは、実は視覚障害者の10%ぐらいなのです。そこで「音の出るトランプ」が考え出されました。カードにICタグがついていて、カードリーダーにかざすと「ハートの2」というようにカードの情報が読み上げられる仕組みです。場の札の音声をスピーカーに、視覚障害者の手札の音声をその人のイヤホンにつなげば、障害に関係なくみんなが一緒に遊べます。
また、ICタグつきのコマを使って対戦する「touch the sky」もあります。コマが月や星などの形になっており、自分のコマはさわって確認、場と同じ絵柄を順番に出して無くなった人が勝ち。場に出したコマの情報だけをみんなに音声で伝えられるのがポイントです。

運と戦略のバランス

ゲーム開発では「運要素」と「戦略性」のバランスが大事です。ババ抜きのように運要素の強いゲームは初心者にも勝つチャンスがあるのが魅力です。将棋や囲碁のように戦略性が高いゲームは、プレイヤーが腕を磨くほど強くなるため、勝ちが自信につながります。
「touch the sky」の研究では、視覚障害者自身がもつ本来の力を引き出すことをめざして、より戦略性が高く、楽しみながら自信が育つゲームになるようにルールの設計に工夫を重ねています。

AIプレイヤーを戦わせて開発

このようなゲーム開発を行っているのは、情報工学を福祉工学に生かす「福祉情報工学」の研究者たちです。ゲームの仕組みを作るだけでなく、ルールの公平さや戦略性を知るために、初心者や熟練者などレベルの違うAIプレイヤーを作り、数千~数万回の対戦シミュレーションを行って勝率などのデータを分析しています。
家族や友人と一緒に楽しむツールが少ないことは障害のある人が抱える悩みの一つです。エンタメのバリアフリー化が求められており、欠損や麻痺などがある人でも演奏できる楽器の開発なども進められています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

大阪電気通信大学 医療健康科学部 医療科学科※2025年4月より健康情報学部 医療工学専攻に改組 教授 新川 拓也 先生

大阪電気通信大学 医療健康科学部 医療科学科※2025年4月より健康情報学部 医療工学専攻に改組 教授 新川 拓也 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

福祉情報工学、生体医工学

先生が目指すSDGs

メッセージ

ゲーム開発の出発点はいろいろなアイデアがありますが、それを形にして世に送りだすには「なぜこのゲームがおもしろいのか」「どんな性質のゲームなのか」を研究することが必要です。私はAIプレイヤーを作り、さまざまなシミュレーションを行って、ゲームの平等性や戦略性を分析しています。どんな研究でも、「なぜ?」が一番大切です。「なぜ?」について知りたい、仲間と考えたい、語り合いたいという気持ちがあれば、どんな分野でも大学での学びがワクワクするものになるはずです。

大阪電気通信大学に関心を持ったあなたは

本学は工学を中心に建築、情報、医療技術、リハビリ、スポーツ、ゲーム、デザインなどの学科/専攻を設置している「技術系総合大学」です。在籍学生数は大学院を含めて約5,887人(2023年5月1日現在)。高度なモノづくりができる「実践型教育」理念のもと、社会で実際に役立つ技術と知識修得をめざします。「3D造形先端加工センター」などの最先端設備や「資格学習支援センター」によるサポート体制が就職率の良さに繋がっています。また、2つのキャンパスは京都や兵庫近辺からのアクセスの良さも魅力の一つです。