若者の地方離れを食い止め、Uターンしてもらうには?

若者の地方離れを食い止め、Uターンしてもらうには?

地方で問題となっている人口減少

日本では、都市部への人口集中が起こっています。少子化のこの時代に都市部に人口が集中しているということは、地方では、地域の高齢化かつ人口減少が顕著になっているということです。なぜ、地方の若者は地元を出ていくのでしょうか。「進学や就職を機に都会へ行った若者は戻らない」とは地方でいわれる通説ですが、本当でしょうか。もし本当なのであれば、若者に地元にとどまってもらうためには何ができるのでしょうか。

若者流出に影響する保護者の意向

進学を機に地元を出た若者の中でも、とりわけ学力の高い大学を卒業した人は地元に戻ってくることが少ないことが調査でわかっています。理由のひとつとして、「東京で就職して活躍をするのが、人生の成功者」といった、根強い都会への憧れ意識が挙げられます。また、保護者の意向も大きく影響します。保護者自身が、住んでいる土地に魅力を感じていない場合、将来子どもに戻ってきてほしい、または残って活躍してほしいと願うことをためらうためです。もちろん、学力や大学のレベルで人間としての能力が決まるわけではありません。しかし若者の流出は、地方にとって将来に関わるため、真剣に向き合う必要があります。

地方を再生へと導いていく施策を

若者に「地元に戻って活躍したい」と思ってもらうには、魅力ある地域づくりが必要です。観光名所だけではなく、長屋など古い歴史を持つ建造物なども十分に地域の魅力になり得ます。そういった新たな観光資源に目を向け、地域の魅力を底上げすることが地元に戻る理由のひとつになります。同時に、保護者世代に活発に地元企業の紹介をするなどして、子どもたちにUターンを促すきっかけを作ることも施策として考えられます。このように、若者の地方離れに関するデータを調査で打ち出し、検証することで有効な施策を講じ、地方を衰退ではなく再生の方向に導いていくことが求められています。

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帝京大学 経済学部 地域経済学科 教授 山口 泰史 先生

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現代はスマホやパソコン、テレビの中に多くの情報があふれていますが、与えられる情報をそのままうのみにしないでください。その情報の海の中で、何が本当に正しいのか、裏付けとなるデータや調査はあるのかと疑い、真実を知ろうとする意識を持ってほしいです。どんなニュースでも疑い、自分の力で調べてみる、そんな好奇心を大切にしましょう。
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帝京大学 宇都宮キャンパスは栃木県宇都宮市の北西部の高台にあるキャンパスで、理工学部の4学科(機械・精密システム工学科、航空宇宙工学科、情報電子工学科、バイオサイエンス学科)をはじめとして、医療技術学部柔道整復学科、経済学部地域経済学科が開設され現在は文系・医療系・理工系を擁するミニ総合キャンパスとなっております。それぞれの学問領域で交流を図りながら各分野のスペシャリストとして、将来、さまざまな分野の核として、地域に貢献できる人材を育成します。