他分野にも応用できる、「ゲームに夢中になる」ノウハウ
夢中になる秘密「ゲームニクス」
日本のTVゲーム文化は、今や世界中で受け入れられています。そこには、長年の試行錯誤で培ってきた独自のノウハウがあります。
例えば、「誰にでも操作できる」ように工夫されており、プレイヤーはマニュアルを読むことなく、ゲーム進行の中で必要な操作方法が自然に理解できます。そのためストレスを感じることなく集中できて、ゲームに没入していきます。この「ゲームに夢中になる」ノウハウを理論化したものを「ゲームニクス」と呼んでいます。
リハビリに、家電に、券売機に
医療におけるリハビリは単純な動作の繰り返しであり、モチベーションを保つのが難しい行動です。そこにゲームニクスを採り入れます。ゲームに必要なのは「ルール」と「勝利条件」です。歩行機能を回復させるリハビリでは、ルールを「左右にぶれないように歩くこと」、勝利条件を「姿勢を維持して長時間歩き続けること」と設定します。ランニングマシンと歩行支援ロボットを組み合わせた装置を作り、設定範囲から左右にずれるとモニターに表示されて、長時間正しく歩けると「ごほうび」がもらえるようなゲームとしてプレイしてもらいます。この装置を使ってリハビリを行った結果、回復速度が通常の約1.7倍になるという結果が得られました。
このノウハウは、ほかにも家電製品からタッチパネル式の券売機まで、さまざまな分野に応用してモチベーションを上げたり、利便性を高めたりできます。
「おもてなし」が日本を救う
日本でゲームニクスが発展したのは、昔からの「おもてなし文化」が基盤にあるからではないかと考えられます。相手が何を求めているかを感じ取って先回りする発想が、結果として世界に受け入れられるようになったのでしょう。
かつて世界のトップと言われた日本の製造業は、ほかの国々に遅れを取るようになってしまいました。しかし、ゲームニクスをさまざまな分野で生かしていければ、再び日本が元気になる未来が描けるようになるはずです。
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先生情報 / 大学情報
亜細亜大学 社会学部 現代社会学科(2025年4月開設) 教授 サイトウ・アキヒロ 先生
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ゲームニクス学、メディア情報学先生が目指すSDGs
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