言葉って面白い! 英語表現から人と社会が見えてくる
英語表現のバリエーションを知る
英語表現のバリエーションと使い分けを知ることも英語学の学びです。例えば、物事に対する確信の度合いを伝えるとき、英語学習者は、maybeなどの特定の語を多用する傾向があります。確信の度合いは、perhaps、probablyなどの副詞をはじめ多様な表現を使って表すことができます。自分の考えや気持ちを英語で伝えたいとき、その表現は1つではありません。さまざまな表現をフォーマルさにも合わせてうまく使い分けられると、場面や相手に応じたナチュラルな英語使用ができるようになります。
生きた英語の宝庫「コーパス」
英語学の学びをアップデートしてくれるのが「コーパス」です。コーパスは、実際に書かれたあるいは話された言葉を大量に集めたデータベースです。かつては、研究者や辞書編纂者は手作業でコツコツと用例を集めて書物を執筆し、辞書を編纂していました。そのため、英語表現の実際の姿や変化を知ることが難しいこともありました。今は随時アップデートされるさまざまなコーパスデータの分析をもとに英語学の研究や、辞書や英語教材の作成ができます。私たちが生きた英語を身につけられるのはコーパスのおかげです。AIもコーパスから言語を学んでいます。
単数のthey?
Everyoneなどの語は、以前は代名詞heで受けていました。男女平等の観点から性的に中立な言葉づかいが求められるようになり、he or sheという表現も広がりました。しかし、「長くて使いづらい」「heとsheのどちらを先にすべきか」などの問題もあり、性を表さない単数のtheyが使われるようになりました。この単数のtheyの用法は、今では学習者用英語辞典にも掲載されています。
言葉は生き物であり、常に変化しています。英語表現の変化や、その表現が使われるようになった背景などを学びながら、社会、文化、ライフスタイル、人の変化にも触れられるのが英語学の魅力です。
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先生情報 / 大学情報
創価大学 文学部 人間学科 教授 藤本 和子 先生
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英語学、コーパス言語学、英語辞書学先生が目指すSDGs
先生への質問
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