おいしいだけではない、学校給食の役割

おいしいだけではない、学校給食の役割

おいしくて楽しかった給食の意義

学校給食は、1日に必要な栄養素の33~50%を摂取できるように考えられています。そして、この学校給食の大きな特徴は、「教育的意義」をもっている点です。学校現場では、管理栄養士である栄養教諭が、栄養バランスの取れた給食の提供を通じて、子どもたちに「食」の大切さを伝えています。栄養教諭は、食に関する教育的な背景をふまえた実践を日々行っています。その中には、地域の農産物や伝統的な食文化を取り入れる工夫も含まれており、たとえば米どころの学校では、児童・生徒が自らお米を栽培する取り組みも行われています。こうした活動は、単なる食事提供にとどまらず、「食を通じた学び」としての教育的価値をもっています。

一生の健康を守っていくために

2005年に食育基本法ができて、栄養教諭という制度が誕生しました。この法律が施行された当時は、子どもの「こ食」や食習慣の乱れ、健康上の問題、そして食の安全性への関心が高まっていた時期でした。この制度がめざすのは、「生きる力の育成」です。その理念は、学校給食に親しんでいる小学生に限らず、乳幼児期から高齢期に至るまで、すべてのライフステージでの食育の推進を理想としています。中でも小中学生の食事(学校給食)は、食習慣が形成される重要な時期に位置づけられており、生涯にわたって健康で暮らすための基礎を築くものとして、特に重要とされています。

栄養教諭のスキルは研究対象

栄養教諭制度が始まり約20年が経ちますが、専門性や資質、能力の定義は十分ではありません。これからの栄養教諭は、教諭と管理栄養士の専門性を生かし、学校教育に携わることで、児童生徒の健やかな成長と食に関する理解を深める役割を果たしていくことが求められます。こうした専門性や資質能力に関する研究も進められています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

新潟医療福祉大学 健康科学部 健康栄養学科 助教 片山 直幸 先生

新潟医療福祉大学健康科学部 健康栄養学科 助教片山 直幸 先生

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健康教育(食育)、学校保健学

メッセージ

私は学校教育に携わる栄養教諭となる「管理栄養士」を育成しています。あなたが小中学校で食べてきた学校給食には、どんな思い出がありますか? あまり意識していなくても、栄養教諭が献立を作る給食を食べていれば、さまざまな教育的背景のある「食育」に接してきています。管理栄養士に関心をもっているなら、その知識で対象者である子どもたちに食の重要性を説けるのが栄養教諭の強みです。子どもの食に興味がある、子どもが好き、学校給食が好きということなら、ぜひめざしてもらいたいです。

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6学部15学科すべての学科で国家資格をはじめとした専門資格の取得に対応したカリキュラムを配置しています。また、看護・医療・リハビリ・栄養・スポーツ・福祉の総合大学である利点を生かし、他学科の学生がチームを形成して学ぶ「連携教育」を導入し、関連職種への理解やコミュニケーション技法を身につけることで実践的な「チーム医療」を学びます。さらに、【スポーツ×リハビリ】【看護×福祉】など、学科コラボによる学びで、幅広い知識を修得します。