「スポーツと社会との関わり」を社会学の観点から考える
接点はどこにある?
社会学とは、社会現象に関わるメカニズムを統計やデータを用いて解き明かす学問分野です。その範囲は広範にわたりますが、スポーツと社会との関係性についても社会学の観点から研究が進められています。その入り口とも言えるのが、「人はいかにしてスポーツと接点を持つのか」を明らかにすることです。
人とのつながりから競技に触れる
最も多いのはスポーツ少年団あるいは部活動だと言われていますが、始めるきっかけとしては「周りの人からの影響」の比重が非常に高いことがデータとして証明されています。「親がそのスポーツをやっていた」「仲の良い友達が通っている」といった「つながり」からのスタートが多くの割合を占め、それはスポーツ環境などの外的要因をしのぐことも研究を進める中でわかってきました。
例えばヨットの場合、ヨットハーバーなどの施設がなければ練習ができません。しかし、競技者は地元だけでなく、ヨットに何かしらの「つながり」を持つ近隣の市町村、あるいは内陸部から通う場合も多い傾向にあることが確認されています。このことからも拠点ありきではなく、「つながり」がより優先的にスポーツと人とを結びつけていると言えます。
ビッグイベントを契機に
もう一つ、スポーツと人を結びつける接点として大きな役割を果たすのが、いわゆる大規模な大会の開催です。世界的なもので言えばオリンピックやワールドカップ、国内では国民スポーツ(体育)大会やインターハイなどが挙げられます。国内では、開催地になった市町村では専用施設が建てられることに伴い少年団が設立された事例も多くあります。大会の認知度が高ければ高いほど、さまざまなメディアを通しての情報発信も盛んになるため、スポーツに触れる人が増えるといった研究データも報告されています。「ホッケーの町」「サッカーの町」など、地域にスポーツが根付いている例は全国的に見られますが、そこにはこのようなメカニズムがそれを生み出す原動力となっているのです。
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