地域活性化と再生可能エネルギーの普及を促進する地域連携とは?

地域活性化と再生可能エネルギーの普及を促進する地域連携とは?

再生可能エネルギーは世界の潮流

Apple社は、自社施設で使用する電力のすべてが再生可能エネルギー(以下再エネ)で発電されたものになっており、自らも世界中で再エネ発電プロジェクトを立ち上げています。こうした企業の取り組みも含め、世界の潮流は再エネ転換へと向かっています。日本でも東日本大震災以降、再エネが注目されるようになり、2012年のFIT(固定価格買い取り制度)導入を契機に、普及は一気に進みました。太陽光発電事業の参入が急増した地域もありました。しかし期待したほど地域経済への波及効果が見られない面もありました。再エネ転換は世界に大きく水をあけられた状況ですが、普及に向けた取り組みは各地で進んでいます。

太陽光パネルの下でお茶を栽培

太陽光発電設備を活用して日陰を作り、抹茶用のお茶の栽培に取り組む企業があります。通常、茶畑は日当たりが良い場所にありますが、抹茶用のお茶は寒冷紗(かんれいしゃ)と呼ばれる黒い布で覆い、日光を遮って栽培します。従来は、その寒冷紗の支柱の設置が負担になっていました。そこで、太陽光パネルの支柱を共用することにしたのです。付加価値の高い抹茶の栽培やその栽培コストの削減、FITの売電収入も得られるようになりました。このような農地の上で太陽光発電を行う、ソーラーシェアリングというこの取り組みは、農業活性化と太陽光発電事業の普及という相乗効果を生み出す仕組みとして、注目を集めています。

キーワードは「連携」

地域活性化につながる、メリットのある再エネ事業こそ普及の第一歩であり、その仕組みづくりに欠かせないのが地域企業との連携です。地元の建設業者が土台づくりから行う太陽光発電、温泉業者による源泉熱を活用した地熱発電、味噌醤油の醸造元が搾りかすの発酵から出るガスを用いたバイオマス発電など、地域産業の担い手が、それぞれのビジネスに関連させた再エネ事業の事例があります。再エネ拡大に向け、こうした各地の取り組みの周知と、チャレンジしやすい連携の仕組みづくりが今後の課題です。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

帝京大学 経済学部 地域経済学科 准教授 大平 佳男 先生

帝京大学 経済学部 地域経済学科 准教授 大平 佳男 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

環境経済学

先生が目指すSDGs

メッセージ

私が中学の社会科教師をめざして進んだのは、教育学部ではなく経済学部でした。社会科は世の中のことを教える教科であり、世の中のことがよくわかるのは経済学だと考えたのです。大学では多くの人と出会いました。たくさんの刺激を受け、いろいろな議論を交わしました。そして私の視野は広がり、再生可能エネルギーについて研究したいと考えるようになりました。
夢を持つのは大事なことですが、一方で多様な人と議論することで、自分の夢がどんどん変わっていくこともあります。その変化も大事にして、楽しみましょう。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?

帝京大学に関心を持ったあなたは

帝京大学 宇都宮キャンパスは栃木県宇都宮市の北西部の高台にあるキャンパスで、理工学部の4学科(機械・精密システム工学科、航空宇宙工学科、情報電子工学科、バイオサイエンス学科)をはじめとして、医療技術学部柔道整復学科、経済学部地域経済学科が開設され現在は文系・医療系・理工系を擁するミニ総合キャンパスとなっております。それぞれの学問領域で交流を図りながら各分野のスペシャリストとして、将来、さまざまな分野の核として、地域に貢献できる人材を育成します。